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【他にはないリスザルの詳しい知識と飼育】

リスザルをよく知って可愛い相棒にしましょう!

●リスザルとはリスザル属に属するサルの総称で、コモンリスザル、ボリビアリスザル、セアカリスザルが知られています。大きさがリスのように小さく、体の色も似ているために、リスザルと呼ばれています。しかし、ペットとして広く知られているのはコモンリスザルで、通称はリスザルと呼ばれています(本章ではコモンリスザルをリスザルと略します)。
表:リスザルの分類

真猿類 オマキザル科 リスザル属 コモンリスザル
ボリビアリスザル
セアカリスザル
クロリスザル


●リスザルは世界で初めて宇宙旅行をしたサルです。1958年に、Gordoと名付けられたリスザルが、アメリカからロケットに載せられて打ち上げられました。

リズザルは宇宙飛行をしたサルです

●最も飼いやすいサルといわれていますが、それはサルの中での話で、ペットとしてはかなり飼育が難しいです。

1分類・生態

1-1分類

学名:Saimiri sciurea
英名:Common squirrel monkey

1-2分布

アマゾン河流域からベネズエラ、コロンビアにかけての広大な地域
リスザル分布地図

1-3身体

●頭胴長:オス31.8(27.5~37.0)cm、メス31.2(27.5~37.0)cm
●尾長:オス40.9(36.0~45.2)cm、メス40.5(38.0~45.0)cm
●体重:オス 554~1150g、メス651~1250g
●毛色:毛は黄色や黒色の混じった緑色で、胸腹部の被毛は白色です。口の周りは黒色で、尾の遠位の1/3も黒色です。

1-4生態

●環境:熱帯雨林や川辺林(マングローブの生える湿地帯や川沿いの森林)
●行動
・数十~数百頭におよぶ群れで生活をし、社会性があり高い知能を持っています〔Mitchell 1994〕。
・昼行性のサルで、朝夕の涼しい時間帯には特に活発に動きまわりますが、夜は木の上で休んでいます。
・群れは広い行動範囲をもち、その中を移動しながらエサを探して行動しています。群れ同士は互いを避ける傾向にあって、群れ同士の縄張り争いはおこらないです。
・声は小鳥のような高音で鳴きます。
●食性:雑食性で、主な餌は昆虫(蝶や蛾など)、軟体動物(カエルやカタツムリ)、木の実、植物の芽や葉、果実などを食べています。
●寿命:約21年〔Rowe 1996〕

2特徴

2-1習性

●性格は温和で、大人しく人懐っこいです。サルらしく好奇心旺盛で、コミカルな動きで飼い主を楽しませてくれます
●急に大きな物音を立てたり、荒々しい振る舞いをすると、「キーキー」と声をあげて驚いて、狂乱状態になることがあります。


●集団で生活している動物なので、寂しがり屋の面もあります。

人懐っこいですが、寂しがり屋です

2-2身体特徴

●体は細長く華奢で、手足と尾が長いです。
●体に比べて頭部は大きく、後頭部が後方へ膨らんでいます。
●目は平たい顔に前方に向いて並んでおり、完全な両眼視(立体視)が可能で、正確な距離を判断することができます。
●真猿類の特徴の1つは豊かな表情をもつことで、行動や鳴き声とともに人が理解できるような喜怒哀楽を示します。顔の筋肉には口輪筋を中心とした細かな筋肉が備わっており、表情により瞬時にコミュニケーションがとれることは、集団生活をするうえでの意思表示となっています。
  

表情が豊か!

●長い尾は背中や首にまわして、体に巻きつけていることが多いです。尾は木や枝に巻きつける能力も備え、移動に役立っています。

●指の数は前足後足ともに5本で、爪は人に似た平爪をしています。第1指が他の四指と離れて内側を向き、対向指を呈し、器用に細かい物をつかむこともできます。
●手足の掌紋が発達し、物をつかんでもすべらないようなつくりになっています。

前足

後足

 

 

 

 

 

 

 

 

●歯の数は36本あります〔Johnson-Delaney 2004〕。

●乳頭は1対(2個)あります〔Ialeggio 1989〕。

2-3生殖器・繁殖

●雌雄鑑別は成熟していないと難しく、オスは生殖孔からペニスが出ていることが多く、その下に精巣が収納されている陰嚢がみられます。

  
●メスの陰核は著しく発達しており、ペニスと似ているため間違えやすいです。

オスとメスの陰部が似ています

表:繁殖知識

性成熟 オス:3.5歳齢
メス:2.4歳齢
〔Boinski 1987a〕
繁殖形式 季節繁殖
発情期:8-10月の乾季〔Boinski 1987a〕

出産:2-4月の雨季〔Boinski1987b〕
性周期:約18日(飼育下8-10日)〔Rowe 1996〕

妊娠期間 約145日〔Boinski 1987b〕- 170 日〔Rowe 1996〕
産子数 1頭〔Rowe 1996〕
離乳 4-6ヵ月齢

  

3飼育

サルの飼育をする心がまえを読んでください!

3-1飼育頭数

●群れで生活をしていますが、ペットとして複数飼育を行うことは管理が難しく、多くは1頭で飼育され、そのような時には飼育者とのコミュニケーションが重要となります。

3-2ケージ

●ケージは大きいものが理想的ですが、サルが立っても窮屈さがない程度が最低限必要となります。リスザルは激しく動き回るため、必然的に大きなケージが必要になり、最低でもオウムなどの金網の大型鳥類用のケージがおすすめです。
 
●ケージ内には止まり木、エサ容器、給水器などをレイアウトして設置してください。
●賢くて手先が器用であるため、ケージの鍵をいじったり、脱走しようと考えるため、鍵はしっかりとしたものをつける。
●樹上性で、特に行動的で縦横無尽に動き回るため、木の枝や棚、あるいはハンモックなどを設置して、立体的に動ける空間を設けてください。
●床敷は種類を問いません。小屋や巣箱で休むために、金網床でかまいません。
●決まった場所でトイレをする習性はありません。

3-1温度・湿度・照明

●熱帯にいる動物なので、暑さに強く、寒さに弱いです。気温は30℃を保つようにして下さい。
●冬の寒い時は、保温器具で寒さを防ぐ工夫をし、夏は冷房や送風などで温度が上がりすぎないように注意してください(温度・湿度)。
●昼行性の動物で、室内飼育の場合には紫外線ライトを設置するか、あるいは温暖な季節には、ケージに収容した状態で日光浴をさせるべきです (照明)。紫外線不足の飼育では、カルシウムの吸収が阻害され、クル病などの骨の病気になりやすいです。

くる病のリスザル

4食事

4-1エサ

●新世界猿用のペレットを中心に、野菜や果物、動物性タンパク質(昆虫、ゆで卵、ピンクマウス)などを与えます。

●ペットのサルのエサで問題となるのは、嗜好的な理由からペレットをあまり好まず、人の食物や果物などを欲しがり、偏食になることです。
●リスザルをはじめとする真猿類はビタミンCを身体内で合成できないため、エサから与えなければなりません。1~4mg/kg/日が必要量とされています〔Holmes  1984〕。サプリメントや果物や野菜などからも摂取させてもよいでしょう。
  
●サル用ペレット(モンキーフード)は新世界ザル用を与えてください。新世界ザル用のペレットの粗タンパクは20~25%が理想とされています〔Johnson 1981〕。特に真猿類用のペレットにはビタミンCとカルシウム代謝に必要なビタミンDが強化して含まれ、ビタミンC欠乏症や代謝性骨疾患を予防します。
●エサは1日に体重の3~5%の食べますが〔Johnson 1981〕、エサの多くは遊んだり、こぼしたりして無駄になるので、より多量の給餌を行う必要があります。1日に1回全量を給餌器に入れて与えるより、2~3回に分けて与えてください。
●サル用のトリーツ(モンキービスケット)なども補助的に与えることができます。
  
●太りやすいので肥満に注意して下さい。リスザルでは巨大に成長する脂肪腫がよくできます。

4-2水

●飲水は給水ボトルを使用して与えるのが最適で、糞や尿による汚れをなくし、水で遊ぶことを防げます。床に置くタイプの給水器であると、容器で遊んだり、放り投げたりすることもあるので注意してください。

5ケア

●ケージの中に動物をいれてエサを与えるだけという単調な飼育は、成長や健康維持、繁殖のみならず、精神的的なストレスの原因になります。
●動物が持つ野生本来の行動を発現できるような環境作りのために、動物はそれぞれ生息地に適応した体の特徴や生態を環境エンリッチメントに沿って考えてください。リスザルの場合、ケージを広くすること含めて、ストレス対策がポイントになります。

ストレス対策がポイント

●群れで生活をするために、仲間とコミュニケーションをとっています。飼い主とのコミュニケーション以外にも、ストレス発散のために豊富な運動や遊びを積極的に取り入れることが望ましいです。ストレスが溜まると、ストレスになり、しつけも難しくなります。

●性成熟後や発情期を迎えると、飼育者に対して突然襲い掛かることも珍しくはありません。野生では群れの社会生活からルールを学びますが、ペットのサルは性成熟前から単独で飼育されているため、そのようなルールが分かっていません。
●性格的にも飼い主とのコミュニケーションを取りたがる傾向が強いので、在宅時は一緒に遊んであげる時間をつくってあげましょう。
●知能が高いので、しつけも行うことができますが、きまぐれな性格の個体も多く、長い目でみてあげてください。抱っこしたり、スキンシップをとりたいのであれば、慌てずにゆっくりと馴らしていきましょう。無理に触ろうとしたり、つかまえようとしたりすると、その後は警戒され、接触できなくなります。信頼度を高めていかなければなりません。
●体が小さく、それほど運動も必要ないと思われがちですが、とても活発で運動量も多いです。部屋の中で自由に運動させてあげられる環境が必要です。しかし、放した部屋の中では、物が崩壊されたり、齧り壊されたりしますので、注意してください。いたずらをされた時など、簡潔に「ダメ」といえば、最低限分かってくれるようになるはずです。
●リスザルは玩具にも興味を示します。しかし、玩具はサルによって好みが異なり、玩具に飽きてしまうこともあり、ローテーションをしたり、新しい玩具を用意しなければなりません
●刺激を受けやすい性格で、興奮すると容易に脱糞や失禁します。幼体期からオムツをつける訓練も不可能ではないですが、大人になったら難しいです。
  

遊んであげる、しつけをする、まるで子供です

●首輪や胴輪、リードを装着して外へ散歩に連れ出してあげることもできます。しかし、散歩に馴らす訓練が必要ですので、時間をかけて行って下さい。外では逃走以外にも、トラブルの可能性があります。サルを散歩するというのは珍しく、人が集まってくることがあります。一般の方からすれば、サルは怖い病気を持っているかもしれないという印象があり、触ると病気になるという考えを持っている人もいます。実際に人から病気をもらい、また人に病気をうつすので、自主検疫や定期検査が必要なのです。

自主検疫と定期検査はコチラ!

胴輪やリードに慣れさせてください

●基本的にきれい好きで、自ら毛の手入れを行う習性があります。
●平爪で、人用の爪切りで切ることができますが、とても難しいです。
  

 

長生きを目指すには、サルドック(健診)を受けましょう!

健康診断を希望であれば、エキゾチックペットクリニックまで、ご予約をおとりください

 

参考文献

■Boinski S.Mating patterns in squirrel monkeys (Saimiri oerstedi): implications for seasonal sexual dimorphism. Behav Ecol Sociobiol 21(1).13-21.1987a
■Boinski S.Birth synchrony in squirrel monkeys (Saimiri oerstedi): a strategy to reduce neonatal predation. Behav Ecol Sociobiol 21(6).393-400.1987b
■Holmes DD.Clinical Laboratory Animal Medicine.AnIntroduction.State University Press.Ames.Iowa.US.1984
■Ialeggio DM.Practical medicine of primate pets.Compend Contin Educ Pract Vet 11.p1252-1259.1989
■Johnson-Delaney C.The Veterinary Clinics of North America. In Small Animal Practice.Exotic Pet MedicineⅡ.Vol 24(1).Quesenberry K,Hillter EV.eds.2004
■Johnson DK,RussellRJ,Stunkard JA.A Guide to Diagnosis Treatment and Husbandry of Nonhuman Primates. Edwardsville KS.Veterinary Medicine Publishing.1981
■Mitchell CL.Migration alliances and coalitions among adult male South American squirrel monkeys (Saimiri Sciureus). Behaviour 130(3-4).169-90.1994
■Rowe N.The Pictorial Guide to the living primates.1st ed.Pogonias Press.New York.US.1996