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【病気が多いハリネズミの病気を少なくする飼い方のコツ】

四大疾患、歯周病・肥満(脂肪肝)・子宮疾患対策を考える

●寿命は、野生では3~5年、飼育下では6~10年ですが〔Johnson-Delaney 2004〕、ペットでは歯周病で食欲が落ちたり、脂肪肝になって短命になり、子宮の腫瘍が多く発生して死因になることが多いです。その対応策は以下の通りです。

①歯を守る

②高タンパク低脂肪のエサ

③運動させて肥満を防ぐ

④昼間暗くすること

●色々なサイトにハリネズミの飼育の記事が多く書かれていますが、ここでは細かいことを省略し、フォーカスを上記①~④に絞って専門獣医師が解説をします。その他の情報は以下を参照してください。

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①歯を守る

口の腫瘍

口の腫瘍

●歯は全部で36 本、前歯が尖った形をしています。上の前歯の間には隙間があり、口を閉じた時には下の前歯に昆虫などのエサが突きささるようになっています。
  
●ハリネズミは歯周病によくなります。しかし、口の中をみたくても、多くが丸まってしまい、かなり進行しないと飼い主さんも気がつかないです。
●歯周病は、食べたエサが歯の表面につき、口に常在する細菌が増殖して、歯石となり、歯肉に炎症を起こします。ハリネズミは歯の隙間が広いので歯石はつきやすいです。
ハリネズミ歯石 
●ふやかしたフードばかりを与えていることが原因の一つにあげられています。ペレットをふやかして与えると水分も摂れて健康的ですが、ふやかしたエサは口の中に残りやすいので歯周病の原因になりやすいのです。またエサに含まれている糖質は虫歯の原因になりますので、ペレットの成分をしっかりと確認しましょう。


●歯周病の症状は、歯が変色して、グラグラして、抜け落ちたり、歯肉が腫れたり、しこりができたりします。その結果、食欲が落ちたり、体重が減少してきます。
ハリネズミ歯肉炎 

●歯周病の確認は、全身麻酔で口を開けてみないと、きちんとした診断がつかないです。ハリネズミは歯周病以外にも、口の中の腫瘍も多くみられますので、検査が大切になります。

口の腫瘍

口の腫瘍

ハリネズミの歯周病は麻酔で口をあけて診断します(涙)

●ペレットは食べられるのであれば、できるだけ硬いまま与えるようにしましょう。硬いペレットまたは昆虫は外骨格があるので、エサを絶寝る際に歯の表面の歯石を落とす役割が期待できます。

●イースターのハリネズミセレクションは成分はもちろん糖質が使われていません。他社のペレットと比べて糖質が入っていなので嗜好性は落ちますが、このようなペレットで幼体時から与えると歯周病や肥満を防ぐことができます。

歯周病予防はパリパリフード&昆虫?

●治療は抗生剤を投与しますが、歯石がひどい時は全身麻酔下で歯石除去を行います。進行度合いによっては抜歯を行う場合もあります。

②高タンパク低脂肪のエサ

●野生のヨツユビハリネズミのエサは無脊椎動物(ミミズ)、甲虫、蝶や蛾の幼虫、ナメクジやカタツムリなどが主食で、時には動物の死骸や畑の野菜や果物も食べています。
●飼育下では高蛋白、低脂肪のエサが理想とされています。ペレットの成分は、粗タンパク30~50 %、粗脂肪10 ~20% 以下という数値も報告されていますが〔Allen 1992〕、この数値もまだ論語されています。
●フェレットフードやキャットフードは粗脂肪が高く、肥満になりやすいので積極的には与えないでください。ハリネズミ用ペレットを与えてください。

フェレットフードは肥満の原因です

ハリネズミ肥満

●ハリネズミ用ペレットを中心に与え、コオロギやワームなどの昆虫、動物性蛋白質(ゆでたササミなど)、少量の野菜(ふやかしたニンジンやカボチャ、葉野菜)などを組み合わせて与えてください。
●肥満防止のために、エサの置きっぱなしを辞めて、エサを与える時間を制限すると体重が減ります。脂肪の多いフェレットフードなどを脂肪の少ないハリネズミ用のペレットに変更するだけでも体重が落ちるはずです。それでもダメな場合は、野菜を多く与えるしかありません。
●糖質が多く配合されたり、カロリーが高いペレットは避けるべきですが、やはりハリネズミは美味しい甘くて脂肪が多いエサを好むのが欠点になります。
●実験動物でこのような報告があります。フェレットフードをエサとして置きっぱなしで与えていたハリネズミを、1日1回20分間の給餌するという食事制限を4週間かけて変更したところ、体重は5.2~16.4%減少し、肥満傾向が改善したそうです〔大楠ら 2017〕。

理想体重は?

●ヨツユビハリネズミの体重は200~300gと記載されている本が多く、飼育下では675~900g〔Herter 1968〕とも書かれています。
●ペットとして流通しているヨツユビハリネズミはアルジェリアハリネズミとの交雑種といわれています。そのために、本来ヨツユビハリネズミは小さい種類なのですが、アルジェリアハリネズミの血が濃いと大型になる傾向があります。そのため、飼われているハリネズミは、個体によりアルジェリアハリネズミの血が濃いと大型になり、反対にヨツユビハリネズミの血が濃いと小型になりますので、一概に理想体重が明確でないのです。
●肥満になると脂肪が肝臓に蓄積して、肝不全になります。初期は無症状ですが、次第に食欲が低下して体重が減り、軟便や下痢を起こし、黄疸がみられると末期症状です。
 

ハリネズミの黄疸 ↑↑↑ よ~く見てください

●肝不全は血液検査やエコー検査などで診断します。しかし、検査は全身麻酔になります。
●初期で異常がみつかれば、投薬や食事指導で治療を行います。しかし、ハリネズミに口から薬を飲ませるのは至難の業です。まだ、食欲がある段階ならば、エサに薬を混ぜて投薬ができます。

初期発見・初期治療!

③運動させて肥満を防ぐ

●肥満にならないようにエサを気をつけるのと同時に運動させることも必要です。
●昆虫などが好物であれば、ケージの隅や小屋の影などに昆虫を隠しておき、ハリネズミに探させるような遊びもお勧めです。
●ヨツユビハリネズミの縄ばりは200~300m2くらいといわれています〔Vriends 1995〕。想像以上にハリネズミは夜になるとエサを求めて長い距離を移動します。
●運動させるのはケージの中だけでは不十分で、回し車と夜に部屋に放して運動させることをお勧めします。

●回し車を気に入るかは個体差があります。回し車を回す場合は、金網タイプの回し車では手足を隙間に引っ掛けてしまう事故も多いので、カバーされている商品を選んでください。回し車が小さすぎると窮屈で回しませんので、直径30㎝程度の回し車が目安です。以下のサイレントランナーは30cmの大きさで、夜にハリネズミが回してもうるさくないです!

●ハリネズミは好奇心旺盛です。部屋で放して探索させながら運動は、家具の隙間やベッドの下などに入り込んで行方不明になってしまう可能性があります。ハリネズミが入りそうな隙間は塞いでおきましょう。隠れ場所になるような物も片付けておいてください。

④昼間暗くすること

ハリネズミ子宮

正常の子宮

ハリネズミ子宮内膜症

子宮内膜症

ハリネズミ子宮の腫瘍

子宮の腫瘍

●メスのハリネズミは卵巣や子宮の病気がとても多いです。その一原因にホルモンバランスの乱れが原因と考えられています。
●病態は、子宮内膜症や子宮内膜炎、卵巣や子宮の腫瘍などがみられます。
●症状は血尿です。実際は陰部からの出血で尿に血が混じって発見されます。初期は元気や食欲には何もみられませんので、少しずつ病気が進行していることも珍しくはありません。

●診断はレントゲン検査やエコー検査などを行いますが、検査は全身麻酔になります。

初期発見・初期治療!

 
●治療は全身麻酔で卵巣子宮摘出手術をすることが、望ましいといいわれます。しかし、子宮内膜症や子宮内膜炎であればホルモン治療も行うこともあります。しかし、改善がなければ外科手術になります。
●ハリネズミは夜行性なので、昼間明るい環境にしたり、夜間に明るい照明をつけることが、ホルモンのバランスを崩す原因といわれています。

最後に

●丸まってしまうハリネズミはなかなか健診ができません。もし、定期的に爪切りを動物病院で麻酔かけて行っている方ならば、爪切りの処置の際に、一緒に健診を受けるとよいと思います。一石二鳥です!!!針ドック(健康診断)を受けましょう!!!

提案!爪切りの時に麻酔で行うならば、肝臓や子宮健診一緒にやりませんか?

診察・健康診断を希望であれば、エキゾチックペットクリニックまで、ご予約をおとりください

 

参考文献
■Allen ME.The nutrition of insectivorous mammals. In Proceedings of the Annual Meeting of the American Association of Zoo Veterinarians.Oakland.California.US.p113-115.1992
■Herter K.The insectivores.In Grzimek’s Animal Life Encyclopedia.Grzimek B.ed.Van Nostrand Reinhold.New York.p176-257.1968
■Johnson-Delaney C.Hedgehogs.In Exotic DVM 9(1).p38-44.2004
■Vriends MM.Hedgehogs.Barron’s Educational Series.NY.1995
■大楠千暁, 鈴木 馨.ヨツユビハリネズミの食餌操作による体重管.ペット栄養学会誌20(2).135-140.2017