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【病気情報】ウサギの尿結石の発生・予防・対策

 2018/11/16 ウサギ この記事は約 13 分で読めます。

尿結石ができたら手術になってしまいます(涙)

1尿結石はなぜできる?

●ウサギにできる尿結石は基本的にカルシウムの結石です。詳しく言うとシュウ酸カルシウムが最も多く、他にも炭酸カルシウムなどの石もみられます。色々な成分が混ざった石ができることもありますので、とても複雑です。
●カルシウムの結石は基本的に薬で溶かすことができないため、外科的に摘出するしかないのです。
●尿結石の発生要因は以下の3つが問題となっています
①尿のカルシウム(スラッジ)
②飲水不足
③運動不足

①尿のカルシウム

●ウサギの尿は特徴的です。健康でも尿色は赤色~薄黄色などの多彩な色をしており、さらにカルシウムの結晶を大量に含むために白濁しています。尿がザラザラしているのは、このカルシウムの結晶や砂のためです。
ウサギカルシウム尿
●尿にカルシウムの結晶が含まれている理由は、ウサギでは体内のカルシウムの排泄の約47%が尿からで、他の動物と比べて多いのです(他の哺乳類の尿中排泄は2%以下です)〔Brewer et al.1994,Buss et al.1984〕。したがって、健康のウサギの尿からもカルシウムの結晶がみられ、これをカルシウム尿と呼ばれています。
ウサギ尿カルシム結晶

尿が白濁しているのはカルシウム尿のためです

●下のウサギのレントゲン写真をみてください。膀胱に尿が貯まっていますが、カルシウム尿のために骨と同じように白くうつっています。
ウサギのカルシウム尿のX線写真
●ウサギの体内でのカルシウム代謝も特徴的です。エサに含まれたカルシウムが多いと、血液中のカルシウムの量も増えます〔Chapin et al.1967〕。したがって、血液検査でのカルシウムの値が他の哺乳類と比べて30~50%ほど高いです〔Buss et al.1984〕。カルシウムが高くなる詳しい理由は分かっていませんが、様々な見解がなされています。しかし、この現象は子ウサギではみられず、大人のウサギだけです〔Gilsanz et al.1991〕。

カルシウムの多いエサ→尿のカルシウムも増える→白濁した尿

●尿のカルシウムの結晶や砂は膀胱内で堆積すると泥状になり〔Itatani et al.1979〕、この堆積したものをスラッジ(Sludge)と呼ばれます。
 ウサギカルシウム尿
●カルシウムの砂やスラッジは膀胱などの尿路の組織に刺激を与えて炎症を起こし、膀胱炎を起こします。そして、このスラッジが固まると尿結石の核になります。

膀胱炎や尿結石の原因になるスラッジに注意!

●ウサギではカルシウムが少ないエサを与えるとよいのでは?という考えが出てきます。しかし、カルシウムが少ないエサを与えると、骨が弱くなったり、低カルシウムによる痙攣がおきたという実験動物のデータが出ています〔Chapin et al.1967a,Bourdeau et al.1986〕

②飲水不足

●「ウサギは水を与えると下痢をしやすいため、水を飲ませてはいけない」といわれていましたが、実際の飲水量は他の動物と比べると多く、1日の水を飲む量は、50~100mL/kg〔Brewer et al.1994〕や120mL /kg〔Cheeke 1994〕と報告されています。

水飲まないと濃いスラッジができる!

●水を飲む量が減ると尿量が減るだけでなく、尿が濃くなり、つまりスラッジができやすくなります。

③運動不足

●運動をしないと、膀胱内のカルシウムの結晶や砂が膀胱の底に貯まりやすくなりますので、スラッジができやすくなります。
●特に肥満のウサギは動かないで、長い時間同じ姿勢でいます。そのためにスラッジや尿結石ができやすいのです。

運動不足は膀胱内でスラッジが堆積!

2尿結石はどこにできる?

●カルシウムの砂やスラッジが結石の核をつくり、核の周りにさらにカルシウムの砂やスラッジがくっついて、ミルフィーユのように層を作りながら結石ができてきます。

 
●膀胱結石以外にも、結石が発生する部位によって、腎臓結石、尿管結石、尿道結石がみられます。
●尿結石は小さいと症状は全くみられません。尿検査では血液反応がみられたり、わすかな血尿が観察されるくらいです。
●尿結石の初期を発見するには、ぜひウサドック(健康診断)を受けましょう。

健康診断で尿検査・レントゲン検査を受けましょう!

●いずれの尿結石も大きくなると痛みを生じ、結石ができている場所によっては尿が出なくなることがあります。
●具体的には水を飲んでいるのにも関わらず、尿がいつもより少ない、トイレに座っている時間が長い、あるいは全く尿が出ていないなどの様子がみられたら、尿結石が疑われます。
●尿結石がつまると、激痛が起こります。尿結石は痛みの王様といわれる位の激しい痛みを伴います。

おしっこの量が少ない!トイレの時間が長い!尿結石が怪しいです・・・

①膀胱結石

●膀胱結石は膀胱内のカルシムの砂やスラッジが核になり、次第に固まってつくられます(下記レントゲンをみてください)。

膀胱結石の初期のレントゲン写真

膀胱結石の初期

膀胱結石初期のレントゲン写真

膀胱結石の進行

ウサギ膀胱結石レントゲン写真

●硬い結石になる前にレントゲン検査でみつけた場合は、点滴や水を飲ませて溶かすことが可能です。このようなケースは健康診断で偶然に見つかることが多いです。

結石が硬くなる前に発見できたら超ラッキー!

●膀胱内で小さい結石は常に転がっているので、結石は球状になります。
 
●膀胱結石が大きくなると、排尿回数が増えて、血尿が顕著にみられます。
●最も怖いのが膀胱の出口に結石がつまることです。尿がでなくなり、ウサギはりきんで排尿しようとします。この時点で結石が発見されることも珍しくはありません。尿が出ないでいると、尿毒症といって、尿中の毒素が体中に回って腎不全になり、取り返しのつかないことになります。

尿毒症になると最悪(涙)

●結石が大きくなっても、運よく結石がつまらずに、数ヵ月にわたり、無症状のこともあります。しかし、結石により膀胱が炎症をおこして、多くが慢性的な膀胱炎になっています。

②尿道結石

●膀胱結石が尿道に移動して、発見されることもあります。
●尿道に石がつまると、多くが尿がでなくなるので、ウサギはりきんで、かなりの痛みを感じます。
●運よく、つまった結石の脇から尿が排尿されることもあります。
●メスは尿道が狭くて太いので、ウサギがりきんで石が出ることもありえますが、オスはペニスがあり尿道が狭くて長いので、石が出る可能性は低いです。
ウサギ尿道結石のレントゲン写真 

③腎臓結石

●腎臓には腎盂(じんう)と呼ばれる尿が集まる部屋があり、ここにも膀胱と同じようにカルシウムの結晶や砂が貯まります。
 
 
●カルシウムの砂が集積してくると、部屋が狭いので、尿結石ができやすくなります。

●腎臓結石が大きくなると痛みがみられ、同時に炎症も起こしで腎炎になります(腎不全)。
ウサギ腎臓結石レントゲン写真 ウサギ腎臓結石
●小さい結石であれば、点滴や水を飲ませて尿量を増やすことで、腎臓から結石を流出させます。

④尿管結石

●腎臓から膀胱へ連絡する尿管に、腎臓結石が排泄された結石が発見されます。
●運わるく結石が膀胱に移動せずに、尿管につまったままでいることがあります。そうなると腎臓でつくられた尿が膀胱に貯まらずに、行き場がなくなった尿が腎臓に貯まり、次第に腎臓が拡張します。この状態を水腎症といいます。
 

尿管結石は最も痛いかも!


●尿が尿管結石を押し出して膀胱に移動すると、一時的には痛みはおさまります。

3尿結石の予防と対策は?

●尿結石の発生要因に対して予防策をとればよいのです。
①尿のカルシウム(スラッジ)を減らす
②水を飲ませる
③運動をさせる

①尿のカルシウムを減らす

●尿のカルシウムを減らすには、カルシウムの低いエサを多く与えます。
牧草にはマメ科(アルファルファなど)とイネ科(チモシーなど)がありますが、カルシウムが少ないイネ科の牧草を与えてください。必然的にペレットもチモシーが主原料となっているペレットを与えましょう。しかし、カルシウムを制限したエサのみでも、完全に結石を予防することは難しいです。
●与える野菜もカルシウムが少ない種類にし、可能であれば水分も摂らせるために葉野菜にしたほうがよいでしょう。

表:野菜のカルシムの量(mg/可食部100g)

種類 カルシウム
パセリ 290
モロヘイヤ 260
大根の葉 260
ケール 220
水菜 210
ヨモギ 180
小松菜 170
春菊 120
クレソン 110
チンゲンサイ 100
人参の葉 92
タイサイ 79
明日葉 65
リーフレタス 58
サラダ菜 56
カイワレ大根 54
ホウレンソウ 49
白菜 43
セロリ 39
ブロッコリー 38
サヤエンドウ 35
スナップエンドウ 32
人参 28
キュウリ 28
レタス 19

●一概に尿結石を作らせないカルシウムの量の基準は決まっていません。100mg以上の野菜は避けるべきです。Dr.ツルはレタスやキュウリなどはカルシウムが少なく、水分が多いのでおすすめしています。
●カルシウムは悪いものではなく、むしろ健康を維持するためには必要不可欠な成分です。ウサギが正常な成長を保つためには、ペレットに最低でも0.22%のカルシウムが含まれていなければなりません。そして、骨の石灰化を促すにためには0.44%が必要といわれています。現在の多くのペレットには0.9~1.6%であるものが多いですが、尿結石のことを考えて、大人のウサギには0.6~1.0%のカルシウムが含まれているペレットが推奨されています〔Chapin et al. 1967,Buss et al.1984,Lowe 1988〕。

●販売されているペレットでカルシウムが少ない、Drツルのおすすめのペレットを2つ紹介します。

オックスボウ社 エッセンシャル バニーベーシックス アダルトラビットフード
カルシウムが最も少ないです(0.35~0.75%)。しかし、ハードタイプなので嗜好性が悪いです・・・

イースター社 ベッツセレクション ウサギ用エイジングケアー
カルシウムが少く0.6~0.9%( 0.7%)、利尿効果のあるタンポポ粉末配合、さらにグルテンフリー!嗜好性が抜群によいです!
普段は動物病院でしか売っていない商品です。

ペレットの成分とカルシウムを確認してください!

●ウサギの尿結石で最も多いのが、シュウ酸カルシウム結石です。シュウ酸を含む野菜も注意するべきと多くの書物に書かれていますが、シュウ酸はカルシウムと結合して糞から排泄するという考えもあり、適量が必要であるとも論議されています。
●ウサギのエサのカルシウムとシュウ酸については、まだ分かっていないことが多いので、これからの研究に期待しましょう。

エサのカルシウムやシュウ酸の量は完全には解明されていません

②水を飲ませる

●毎日しっかりと十分な水を飲めば、尿も多くなり、カルシウムの砂も体から排泄されて、スラッジを作らないはずです。しかし、無理に沢山の水を飲ませて下痢をしないように注意してください。

●ミネラルウオーターなどはカルシウムが多く含まれている可能性が高いので、注意してください。
●水をあまり飲まないウサギには、水分か多い野菜を与えましょう。レタスやキュウリなどかおすすめです。これらの野菜はビタミン等が少ないのですが、尿量を増やす目的で、多くを与えるぶんには問題ありません。

レタスやキュウリいいじゃない~

③運動をさせる

●運動をさせることで、膀胱内のカルシウムの砂やスラッジの堆積を予防します。
●カルシウムの砂は膀胱の底に沈殿しやすく、運動をすると膀胱内の砂が尿の中で舞って排泄されます。かえって白濁した尿が出ている方が安心かもしれません。
●肥満のウサギは積極的に動かないので、尿結石ができやすいといえます。
ウサギ運動

肥満解消!運動させましょう!

おまけ(尿サプリメント)

●正直、決定的なサプリメントはありませんが、膀胱内の状態を改善し、尿量を増やすためのサプリメントがいくつかありますが、あえていえばこれをおすすめします。

オックスボウ社 ナチュラルサイエンス尿サポート

尿を正常化にするクランベリーと利尿効果のあるタンポポが配合されたサプリメントです。嗜好性がよいのが特徴です

バイオ・ラピス

ウサギに認可された専用生菌剤、電解質成分配合のサプリメントです。生菌剤はプロバイオテックスと呼ばれ、イギリスでウサギに承認された酵母菌(サクロマイセス)が使われています。電解質飲料なので、しっかりと吸収して尿量を増やします。動物病院専用のサプリメントです。

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参考文献
■Bourdeau JE,Shwer-Dymerski DA,Stern PA,Langman CB.Calcium and phosphorous metabolism in chronically vitamin D-deficient laboratory rabbits.Mineral and Electrolyte Metabolism 12.176-185.1986
■Brewer NR,Cruise LJ.Physiology.The Biology of the Laboratory Rabbit, Manning PJ, Ringler DH,Newcomer CE,eds.2nd ed.63-70.Academic Press.1994
■Buss SL,Bourdeau JE.Calcium balanace in laboratory rabbits.Mineral and Electrolyte Metabolism10(2).127-132.1984
■Chapin RE.Smith SE.Calcium requirement of growing rabbits.Journal of Animal Science26.67-71.1967
■Cheeke PR.Nutrition and nutritional disease.In Mannig PJ,Ringer DH,Newcomer CE,eds.The Biology of the Laboratory Rabbit,2nd ed.San Diego.Academic Press.CA. 321-333.1994
■Gilsanz V,Roe TF,Antunes J,Carlson M,Duarte MLand Goodman WG.Effect of dietary calcium on bone density in growing rabbits.American Journal of Physiology- Endocrinology and Metabolism 260.E471-E476.1991
■Itatani H,Itoh H,Yoshioka T,Namiki M,Koide T,Okuyama A,Sonoda T.Renal metabolic changes relating to calculogenesis in an experimental model of calcium containing renal stone formation in rabbits.Invest Urol19(2).119-122.1981
■Lowe JA.Pet rabbit feeding and nutrition.In The Nutrition of the Rabbit.de Blas C,Wiseman J.eds.CAB International.Wallingford.UK,CAB International.New York.p309-331.1998

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