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オグロプレーリードッグの知らないといけない知識

 2018/11/13 プレーリードッグ・ジリス この記事は約 12 分で読めます。

草原の犬と呼ばれるプレーリー

●プレーリードッグとジリスと同じ地上で生活をするリスの仲間です。他の樹上で生活するリスと比べて、尾が短くて寸胴な体型をしていること、そして社会性が高く、集団でいることが特徴です。

オグロプレーリードッグとリチャードソンジリス

●警戒心が強く、プレーリードッグは危険を察知した際などは、遠くをみるために後足で立ち上がる姿が有名です。

1分類・生態

●プレーリードッグはネズミ目リス科プレーリードッグ属の動物の総称で、全種類が北米にいます。ネズミの仲間ですが、草原(プレーリー)に住んで、犬(ドッグ)のような鳴き声をしていることから、プレーリードッグ(草原の犬)と命名されました。
●プレーリードッグには、オグロプレーリードック、オジロプレーリードッグ、ユタプレーリードッグ、メキシコプレーリードッグ、ガニソンプレーリードッグの5種類が知られ、外見上は似ています。特にオグロプレーリードッグは分布域が広くて個体の数も多いため、必然的にペットとしても数多く飼育されています。

表:プレーリードッグの分類

ネズミ目 リス科 プレーリードッグ属 オグロプレーリードッグ
オジロプレーリードッグ
メキシコプレーリードッグ
ガニソンプレーリードッグ
ユタプレーリードッグ

草原(プレーリー)に住んでいる犬(ドッグ)のような鳴き声をしています

●プレーリードッグで、可愛らしい姿から人気があり、一時期はペットとして大量に輸入されていました。しかし、人獣共通感染症であるペスト〔Kartman et al.1962, Stevenson et al.2003, Varela et al.1954〕や野兎病〔La Regina et al.1986〕などの感染症を媒介することが懸念され、「感染症法の予防及び感染症の患者に対する医療に関する法律」に基づき、2003年3月に輸入が禁止されました。現在、日本国内で販売されているペットのオグロプレーリードッグは国内繁殖したものです。ただし、これらの感染症はプレーリードッグに感染しても、発症や死亡に至るまで長くとも数週間であることが分かり、2008年8月にアメリカの食品医薬品局にて輸出禁止を解除する方針が示されました。ただし、日本への輸入に関しては、未だ禁止の状態が続いています。

輸入禁止なので国内繁殖のみ

1-1分類

ネズミ目(げっ歯目)リス科プレーリードッグ属
学名:Cynomys ludovicianus
英名:Black-tailed prairie dog

1-2分布

北アメリカ大陸中西部(南はテキサス州 から北はアメリカ合衆国とカナダとの国境付近まで)

 

1-3生態

●環境:グレートプレーンズと呼ばれる草原地帯で、乾燥した気候をしています。
●行動
・巣穴を掘って、群れで生活しています。
・昼行性であるため、昼は暑さを避けて、朝と夕方に活発に活動をします。
・巣穴の中には、寝室、食料貯蔵庫、トイレを設けています。食料を貯える貯蔵行動もみられます。

 


・草原では巣穴の見張り台で、交代で見張りをたてています。巣穴の周囲を見張り役が警戒して、コヨーテやアナグマなどの天敵が近づくと、キャンキャンと鳴いて敵の存在を仲間に知らせます。この鳴き声を聞くと、仲間は皆一斉に巣穴に逃げ込んでいきます。
・群れは、オス1頭に対して3~4頭のメスとそれらの子供で構成されるコテリー(Coterie)と呼ばれる家族単位になっています。

●コテリーが集まってワード(Ward)という縄ばりをつくり、さらにいくつかのワードも集まり、まるで一つの町のようであるためタウン(Town)と呼ばれています〔Crosby et al.1986〕。
●食性:草食性で、植物の葉、茎、根、実や種子、時に草についていた昆虫などを食べています。

●寿命:野生では3~6年(飼育下では8年以上の長寿の個体も増えています)。

1-4身体

●頭胴長:オス 38.8(35.8~42.9)cm、メス 37.1(34.0~40.0)cm
●尾長:7.5~10cm
●体重:オス9 07(575~1490)g、メス 863(765~1030)g
●毛色:背中は茶褐色で、お腹は黄褐色~白色です。尾の先端約1/3は名前の通り黒色です。
  

1-5品種

背中の茶褐色の濃淡でいくつかの毛色がいますが、明確な品種の定義はされていません。しかし、アルビノやホワイトなどが時に流通しています。

  1. ホワイトプレーリードッグ

全身の毛色が白色で、目は黒目です。しかし、白色には幅があり、純白~薄いクリームをしており、薄茶色の斑が入ることもあります。
 

2特徴

2-1習性

●昼行性で、日中に地上で活発に動き回りますが、昼は暑さを避けるので朝・夕に活発に活動をします。ペットでは人の生活に合わせることが多いので、あまり関係ないようです。

二大習性は「齧る」「意思表示が明確」

●オグロプレーリードッグもリチャードソンジリスも巣穴を掘るために、床を掘ったり、潜る習性があります。そして、物を齧る習性も強く、ケージや部屋の中で様々な物が壊されることがあるので、注意してください。
●性格は喜怒哀楽がはっきりとしています。活動的でありながら、一方では寂しがりやで、警戒心も強い面も持っています。
 


●群れで生活しているため、社交性豊で仲間思いです。馴れると人なつこく、甘えてきますが、飼い主以外の見知らぬ相手には攻撃的になることもあります。

●オグロプレーリードッグは、ボディランケージでコミュニケーションを取ろうとします。愛情を表現する時、面白そうな物を見つけて興味をもった時、驚いて怯えた時、興奮した時など、それぞれの表現があります。

プレーリーは人にべた馴れします

●個体同士でのコミュニケーションをとる行動がみられます。
●鼻先をつけたり、キスをするような行為は、キッシング(Kissing)と呼ばれ、フェロモンの臭いで相手を認識しています。つまり挨拶みたいなものです。
 

●嫌なことをされたり、嫌いな人が近づくと、口を開けて前歯をむき出しにして、「キャンキャン」と鳴きさけびます。これは警戒音(アラームコール:Alarm call)と呼ばれ、群れの中で天敵が進入した際に、仲間に危険を知らせるためです。つまり驚いて興奮したり、威嚇している時です。
●前足を上に向けて、高く身体を伸ばして、「ウキュー」と甲高い声を発する(ジャンプ・イップ:Jump-yip)ことがあります。これは天敵が縄ばりから出ていった際の仲間への呼びかけといわれていますが、飼育下では嬉しい時にみられます。
●警戒や威嚇の表示として、被毛を逆立てて尾を膨らませ、カチカチと歯を鳴らすこともあります。つまり、おびえている時です。

●興奮すると肛門周囲の3本の肛門腺を突出させ、分泌物を放散しますが、人がこの臭いを悪臭だと感じることはあまりありません。

●標高の高い高地に棲息するユタプレーリードッグ、オジロプレーリードッグ、ガニソンプレーリードッグは冬眠をしますが、オグロプレーリードッグ、メキシコプレーリードッグは冬眠をしません。ただし、オグロプレーリードッグも過酷な寒い環境におくと休眠することがあります。

喜怒哀楽がはっきりしている可愛いやつです!

2-2身体特徴

●地上ないし巣穴で生活をするため、身体は寸胴で四肢も短いです。
●耳介は小さく、体に密着しています。地下の巣に容易に潜れるためです。

●指の数は前足後足ともに5本で、地面を掘るために鋭く長い鉤爪をしていますす。

前足

後足

●歯は前歯と奥歯があり、全部で22本で、特に前歯は大きくて鋭く、硬いものもかじります。前歯は常生歯で、生涯にわたり伸び続けますが、奥歯は伸びません。前歯の表面は黄褐色をしていますが、これは虫歯ではなく、体内のミネラルが沈着しているからです。
●乳頭は4対(8個)あります。
●体臭は特有の草のような芳香臭があります。

2-3繁殖・生殖器

●雌雄は生殖孔(包皮の孔)と肛門の距離がオスはメスと比較して長いことで鑑別します。
●季節繁殖動物で、繁殖する季節が決まっています。発情時になると外部生殖器も発達し、特有の行動がみられます。
●発情したオスは精巣が発達して下降するために陰嚢が膨らみます。

非発情期

発情期の陰嚢

 

 

 

 

 

 

 

●発情したメスは陰部が充血して、腫脹します。

非発情期

発情期の陰部

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

発情したオスは噛みつくので触らないで!

●発情期の行動の変化として、オスもメスも気性が荒くなり、特にオスのプレーリードッグは狂暴化して鳴き叫び、飼い主が触れないほど攻撃的になることがあります。また、エサを食べる量も減ります。発情期の間はあまり構わずにそっとしてあげましょう。下手に手を出すと、大けがをするほど咬みつくので注意してください。

表:繁殖知識

性成熟 15ヵ月 〔King 1995〕-2年〔Hoogland 1995〕
繁殖形式 季節繁殖(2-4月)〔Koford 1958〕
発情期間:2-3週間
妊娠期間 34-35日〔Hoogland 1995〕
産子数 2-10頭〔Johnson-Delaney 2002〕
離乳 約6週齢

 

参考文献

■Crosby L,Graham R.Population dynamics and expansion rates of black-tailed prairie dogs. In Proceedings,twelfth vertebrate pest conference.Salmon TP.ed.University of California.California.p112-115.1986
■Hoogland JL.The Black-Tailed Prairie Dog.Social Life of a Burrowing Mammal.The University of Chicago Press.Chicago.S.1995
■Johnson-Delaney CA.Other small mammals.In BSAVA Manual of Exotic Pets 4th ed. Meredith A,Redrobe S.eds.British Small Animal Veterinary Association Gloucester. p102-115.2002
■Kartman L,Quan SF,Lechleitner RR.Die-off of a Gunnison’s prairie dog colony in central Colorado.II.Retrospective determination of plague infection in flea vectors, rodents,and man. Zoonoses Res 1.p201-224.1962
■King JA.Social behavior, social organization, and population dynamics in a black-tailed prairie dog town in the Black Hills of South Dakota.In Contributions from the Laboratory of Vertebrate Biology 67.University of Michigan.Ann Arbor.Michigan.p123.1955
■La Regina M,Lonigro J,Wallace M.Francisella tularensis infection in captive,wild-caught prairie dogs.Lab Anim Sci36.p178-180.1986
■Stevenson HL,Bai Y,Kosoy MY,Montenieri JA,Lowell JL,Chu MC,Gage KL.Detection of novel Bartonella strains and Yersinia pestis in prairie dogs and their fleas (Siphonaptera: Ceratophyllidae and Pulicidae) using multiplex polymerase chain reaction.J Med Entomol 40.p329-337.2003
■Varela G,Vazquez A.Finding of sylvatic plague in the Republic of Mexico; natural infection of Cynomys mexicanus (prairie dogs) with Pasteurella pestis.Rev Inst Salubr Enferm Trop 14.p219-223.1954

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