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コモンマーモセットの知らないといけない知識と飼育(特別保存版)

 2018/11/07 サル この記事は約 11 分で読めます。
コモンマーモセット

コモンマーモセットは猿らしくないサル

●マーモセットとはマーモセット属のサルの総称で、コモンマーモセット、ジョフロワマーモセット(シロガオマーモセット)、クロミミマーモセットなどが知られています。
●古くから広く人に知られ、ペットとして有名なのはコモンマーモセットです。近年、実験動物としても重要視されています。
●コモンマーセットは真猿類ですが、原始的な原猿類の特徴も持ち合わせたサルです。
●2006年にワシントン条約付属書Ⅱ掲載種です。輸出国の許可がなければ商取引きがされないので入手は困難です。日本では国内で繁殖された個体を販売しているところがあります。

1分類・生態

1-1分類

学名:Callithrix jacchus
英名:Common marmoset

1-2分布

ブラジル東部
コモンマーモセット分布地図

1-3身体

●頭胴長:オス 18.8cm(15.8~20.7)cm、メス 18.5(17.3~19.8)cm
●尾長:オス 28.0(24.7~31.2)cm、メス 27.4(24.3~30.3)cm
●体重:オス 約256g、メス 約236g
●毛色:毛は灰褐色で、耳に白色の長い房毛があり、尻尾が黒色と灰色の縞模様となっています。頭は黒色を帯びて、顔のみが毛で覆われておらず、白~黄色をしています。尾には白色と黒色の輪がみられます。
   

1-4生態

●環境:幅広い森林(海に面した地域、内陸、サバンナ)
●行動
・群居性をもつ昼行性のサルで、樹上生活を営んでいます。リスのような動きをし、樹に垂直に掴まったり、飛び移ったりします。
・9頭くらいの群れを作り〔Stevenson et al.1988〕、1~2頭の繁殖するメス、1頭の繁殖するオス、その子供たちと、さらにその親か兄弟などの大人の親族からなります〔Ferrari et al.1996〕。
・基本的に一夫一婦性になることが多く、特定の相手と恒常的な夫婦生活を営みます。育仔はオスも手助けをすることが有名で、生まれた子はオスが抱いて、授乳の時のみメスに手渡すこともあるそうです〔河合 1968〕。
●食性:昆虫を主食としますが、果物や樹液も食べています。
●寿命:約11.7年〔Rowe 1996〕

2特徴

2-1習性

●性格は温和で穏やかですが、急に大きな物音を立てたり、荒々しい振る舞いをすると、驚いて狂乱状態になります。
●臆病な面も併せ持っていますので、驚かしたり嫌なことをすれば、警戒されてしまいます。
●「チッチ、チッチ」という甲高い声で、様々な声を事態に応じて鳴き分けます。その高音の声は人の可聴域を超えることもあります。

2-2身体

●耳の周りに白色の房毛をもち、尾は体長よりも長いです。

●尾は枝などに巻きつけることはせず、移動時の平衡感覚をとるのに役立つのみです〔 河合 1968〕。
●指の数は前足後足ともに5本で、後足の親指のみが平爪で、それ以外の指は鉤爪になっています。
●指の対向性もなく、前肢は後肢よりも短く、飛び歩くように敏捷に移動します。
●陰嚢や鼠径部の臭腺を木などに擦りつけてマーキングをします。
●歯の数は32本です〔Johnson-Delaney 2004〕。歯も原猿類のような櫛歯をしています〔Rowe 1996〕。

●乳頭は1対(2個)みられます〔Ialeggio 1989〕。

3雌雄鑑別・繁殖

●雌雄鑑別は成熟していないと難しく、オスは生殖孔の下に精巣が収納されている陰嚢がみられます。
●メスの陰核は著しく発達しており、ペニスと似ているため間違えやすいです。
●基本的には一夫一妻制ですが、一夫多妻のこともあります〔Digby 1995〕。
●メスはオスに対して舌を突き出すことで交尾を誘います。
●基本的に二卵性双生子を生みます。そのため、妊娠期間と哺乳期間のメスの負担が多くなることから、群れの他のサルが子育てを助けることもあります〔Stevenson et al.1988〕。
●新生子は母親の背中に本能的にしがみつき、生後2週間は離れることがないです〔Stevenson et al.1988〕。

表:繁殖知識〔Rowe 199〕

性成熟 オス:約16.7ヵ月齢
メス:約12ヵ月齢
繁殖形式 周年繁殖
性周期:13-15日
妊娠期間 約148日
産子数 2(1-4)頭
離乳 3ヵ月齢

3飼育

3-1飼育頭数

●群れで生活をしていますが、ペットとして複数飼育を行うことは管理が難しく、多くは1頭で飼育され、そのような時には飼育者とのコミュニケーションが重要となります。

3-2ケージ

●ケージは大きいものが理想的だが、サルが立っても窮屈さがない程度が最低限必要となる。真猿類では激しく動き回るため、必然的に大きなケージになります。
●ケージ内には止まり木、エサ餌容器、給水器などをレイアウトして設置してください。
●賢くて手先が器用であるため、ケージの鍵をいじったり、脱走しようと考えるため、鍵はしっかりとしたものをつける。
●樹上性で、特に行動的で縦横無尽に動き回るため、木の枝や棚、あるいはハンモックなどを設置して、立体的に動ける空間を設けてください。
●決まった場所でトイレをする習性はありません。
●床敷は種類を問いません。小屋や巣箱で休むために、金網床でかまいません。

3-3温度・湿度・照明

●熱帯にいる動物なので、暑さに強く、寒さに弱いです。気温は30℃を保つようにして下さい。
●冬の寒い時は、保温器具で寒さを防ぐ工夫をし、夏は冷房や送風などで温度が上がりすぎないように注意してください (温度・湿度)。
●昼行性の動物で、室内飼育の場合には紫外線を含むライトを設置するか、あるいは温暖な季節には、ケージに収容した状態で日光浴をさせるべきです (照明)。紫外線不足の飼育では、カルシウムの吸収が阻害され、クル病などの骨の病気になりやすいです。

4食事

4-1エサ

●新世界猿用のペレットを中心に、野菜や果物、動物性蛋白質(昆虫、ゆで卵、ピンクマウス)などを与えます。
●ペットのサルのエサで問題となるのは、嗜好的な理由からペレットをあまり好まず、人の食物や果物などを欲しがり、偏食になることです。
●真猿類はビタミンCを身体内で合成できないため、エサから与えなければなりません。
●エサは1日に体重の3~5%の食べますが〔Johnson 1981〕、エサの多くは遊んだり、こぼしたりして無駄になるので、より多量の給餌を行う必要があります。1日に1回全量を給餌器に入れて与えるより、2~3回に分けて与えてください。

4-2水

●飲水は給水ボトルを使用して与えるのが最適で、糞や尿による汚れをなくし、水で遊ぶことを防げます。床に置くタイプの給水器であると、容器で遊んだり、放り投げたりすることもあるので注意してください。

5ケア

●ケージの中に動物をいれてエサを与えるだけという単調な飼育は、成長や健康維持、繁殖のみならず、精神的的なストレスの原因になります。
●動物が持つ野生本来の行動を発現できるような環境作りのために、動物はそれぞれ生息地に適応した体の特徴や生態を環境エンリッチメントに沿って考えてください。コモンマーモセットの場合、ケージを広くすること含めて、ストレス対策がポイントになります。

ストレス対策がポイント

●真猿類は群れで生活をするために、仲間とコミュニケーションをとっています。飼い主とのコミュニケーション以外にも、ストレス発散のために豊富な運動や遊びを積極的に取り入れることが望ましいです。ストレスが溜まると、ストレスになり、しつけも難しくなります。
●真猿類は性成熟後や発情期を迎えると、飼育者に対して突然襲い掛かることも珍しくはありません。野生では群れの社会生活からルールを学びますが、ペットのサルは性成熟前から単独で飼育されているため、そのようなルールが分かっていません。
●多少のしつけも行うことができますが、きまぐれな性格の個体も多く、長い目でみてあげてください。抱っこしたり、コミュニケーションをとりたいのであれば、慌てずにゆっくりと馴らしていきましょう。無理に触ろうとしたり、つかまえようとしたりすると、その後は警戒され、接触できなくなります。信頼度を高めていかなければなりません。
●体が小さく、それほど運動も必要ないと思われがちですが、とても活発で運動量も多いです。部屋の中で自由に運動させてあげられる環境が必要です。しかし、放した部屋の中では、物が崩壊されたり、齧り壊されたりしますので、注意してください。
●刺激を受けやすい性格で、興奮すると容易に脱糞や失禁を起こします。幼体期からオムツをつける訓練も不可能ではないですが、成熟後は難しいです。
●首輪や胴輪、リードを装着して外へ散歩に連れ出してあげることもできます。しかし、散歩に馴らす訓練が必要ですので、時間をかけて行って下さい。
●基本的にサルはきれい好きで、自ら毛の手入れを行う習性があります。
●爪は平爪で、人用の爪切りで切ることができますが、とても難しいです。

長生きを目指すには、ぜひサルドック(健診)を受けましょう

健康診断を希望であれば、エキゾチックペットクリニックまで、ご予約をおとりください

 

参考文献

■Boinski S.Mating patterns in squirrel monkeys (Saimiri oerstedi): implications for seasonal sexual dimorphism. Behav Ecol Sociobiol 21(1).13-21.1987a
■Boinski S.Birth synchrony in squirrel monkeys (Saimiri oerstedi): a strategy to reduce neonatal predation. Behav Ecol Sociobiol 21(6).393-400.1987b
■Digby LJ. Social organization in a wild population of Callithrix jacchus:II,Intragroup social behavior.Primates36(3).361-375.1995
■Ferrari SF,Digby LJ.Wild Callithrix group: stable extended families?.Am J Primatol38.19-27.1996
■Holmes DD.Clinical Laboratory Animal Medicine.AnIntroduction.State University Press.Ames.Iowa.US.1984
■Ialeggio DM.Practical medicine of primate pets.Compend Contin Educ Pract Vet 11.p1252-1259.1989
■Johnson DK,RussellRJ,Stunkard JA.A Guide to Diagnosis Treatment and Husbandry of Nonhuman Primates. Edwardsville KS.Veterinary Medicine Publishing.1981
■Johnson-Delaney C.The Veterinary Clinics of North America. In Small Animal Practice.Exotic Pet MedicineⅡ.Vol 24(1).Quesenberry K,Hillter EV.eds.2004
■Junge RE.Prosimians.In Zoo and Wild Animal Medicine: Current Therapy 3.Fowler ME, Miller RE.eds.WB Saunders.Philadelphia.US.p378-389.2003
■Matsuda G,Maita T.et al.Amino acid compositions of all the tryptic peptides from the and polypeptide chains of adult hemoglobin of the slow loris (Nycticebus coucang). Biochemical studies on hemoglobins and myoglobins.X.Int J PROTEIN ReS4(6).405-13.1972
■Mitchell CL.Migration alliances and coalitions among adult male South American squirrel monkeys (Saimiri Sciureus). Behaviour 130(3-4).169-90.1994
■Rowe N.The Pictorial Guide to the living primates.1st ed.Pogonias Press.New York.US.1996
■Stevenson MF, Rylands AB.The marmosets,genus Callithrix. In Ecology and behavior of neotropical primates2.Mittermeier RA,Rylands AB,Coimbra-Filho AF,da Fonseca GAB, editors. Washington DC. World Wildlife Fund.p131-222.1988
■Yamamoto ME.From dependence to sexual maturity:the behavioural ontogeny of Callitrichidae.In Marmosets and tamarins: systematics, behaviour,and ecology.Rylands AB ed.Oxford (England): Oxford Univ Pr.p235-254.1993
■河合雅雄,岩本光雄,吉場健二.世界のサル毎日. 毎日新聞社.東京.1968

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