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フクロモモンガの知らないといけない知識

 2018/11/01 フクロモモンガ この記事は約 10 分で読めます。

フクロモモンガはカンガルーの仲間です

1分類・生態

●フクロモモンガは、飛膜を使い空を滑空することができる小動物です。
  
●モモンガというと、通常はげっ歯類のモモンガを想像しますが、フクロモモンガはお腹に袋を持つカンガルーの仲間の有袋類の仲間です。分類学的に全く違う種類ですが、何万年の間に体が似た構造を持った進化を遂げてきました(収斂現象)。

アメリカモモンガ

アメリカモモンガ

●フクロモモンガは1980 年代からアメリカでも飼育され始め、本邦でも2000 年以降に人気が出てきて、ペットとして大量に流通しています。

1-1分類

カンガルー目(有袋目)フクロモモンガ科フクロモモンガ属
学名:Petaurus breviceps
英名:Sugar glider
●棲息地域により、いくつかの亜種が報告されているが、体の大きさや毛色に幅があります〔Lindenmayer 2004〕。しかし、分類学的には明確に定まっていません。
表:亜種

カンガルー目 フクロモモンガ科 フクロモモンガ属 フクロモモンガ Petaurus breviceps breviceps
P.b.ariel
P.b.flavidus
P.b.papuanus
P.b.tafa
P.b.biacensis

1-2分布

タスマニア島、オーストラリア大陸の北部と東部、ニューブリテン島、ニューギニア島とその周囲の島々

フクロモモンガ分布地図

1-3身体

●頭胴長:18~23cm
●尾長:20~30cm
●体重:オス 115~160g、メス95~135g
●毛色:背中は淡色~青色気味の灰色で、鼻筋から頭部、背中にかけて黒色の線が走り、目の周りと耳にかけて黒色です。お腹は顎の先端から尾のつけ根まで淡黄色です。その毛色は保護色となっています。

  

1-4生態

●環境:熱帯雨林に棲息しています。
●行動:樹洞を巣穴として生活する夜行性の動物で、6~7頭以下(1頭のオスと複数のメスと子)の群れで生活をしています。

●木々を滑空しながら移動してエサを探し、地面に降りたつことはまれです〔Goldingay 1984〕。
●食性:雑食性で、アカシアやユーカリの樹液、果汁、花粉や花蜜、昆虫類などを食べています。
●大きな切歯で樹皮をはがして樹液を舐めとり、花蜜を吸いとります。
●英名のSugar glider は、「甘いものが好きな滑空者」という意味です。
●寿命:5~7年(飼育下では12~15 年という記録があります〔Brust 2009〕)。

2品種

●ペットで流通している個体には、多くの毛色や毛様のバリエーションが流通しています。ここでは代表的な品種を紹介します。

ノーマル

野生色である基本的なカラーで、ノーマル、ワイルド、クラシックとも呼ばれます。体色の濃淡やグレイ系、ブラウン系で品種の分類をすることもあります。ブラウン系のカラーは、ブラウンあるいはレッドというカラーバリエーションとしている場合もあります。

ノーマル

ブラウン

ホワイトチップ

ノーマルカラーで、尾の先が黒色でなく、白色をしています。

ブラックビューティー

ノーマルカラーで、黒色が濃く発色している。しかし、ノーマルとのグレーとの境界が不明確であるので、個人的な見解が強いです。

バタークリーム

クリーミーな茶色と黄色の頭をしており、縞模様が赤色を帯びているが特徴です。

ホワイトフェイス

耳や目の周り、鼻の周りが白色になっているカラーです。体も全体的に薄い感じになるものが多いようです。ノーマル以外にも、モザイクやクリミノ、プラチナ等のカラ―と同時にみられます。

モザイク

ノーマルで、不規則に毛色が退色したり白抜けしたパータンです。したがって、色々なバリエーションがあります。

リングテール

尾に白色の輪の模様が入るのが特徴です。

リューシスティック

白変種で、全身が白色で、目は黒目をしています。
 

アルビノ

黒色色素が欠乏し、全身が白色で、目は赤芽です。

クリミノ

黒色色素が減退したカラーで、淡いノーマルの色をしています。クリミノはクリーム・アルビノの略した言葉で、アルビノよりも茶色みの残った感じで、目はぶどう目をしています。体にうっすら模様が出ることもあります。

プラチナ

グレーの色味が淡くなったカラーです。

3特徴

3-1習性

●警戒心が強いため、部外者を激しく排除しようとして、「ギュイギュイ」、「ギュルギュル」、「ギコギコ」と甲高い威嚇の警告音をあげます。

●後足で立ち上がり、前足を広げるような姿勢で、歯をみせながら声をあげて威嚇をします(アラームコール:Alarm call)。仰向けになり手足を突き出した姿勢で威嚇することもあります。

●声は威嚇以外にも多彩で、コミュニケーションなどにも使用されます。「ワンワン」は発情期の求愛、「ジジッ」は驚き、「シューシュー」や「キュキュ」は甘え、「プププ」は嬉しいといった意思表示です。
●縄ばり意識が強く、オスはグループ内のメスや縄ばりに、唾液や臭腺分泌物を使って、臭いつけを行います。オスはメスよりも臭腺が発達しています。嗅覚は優れており、臭いによって縄張りや仲間を認識しているようです。
●きれい好きな動物で、口で毛を舐める以外に手足の爪を使って毛繕いをします。毛繕いの行動は高速回転のように素早く、夢中になって行う動作がかわいいです。
  

3-2身体特徴

●目は丸く突きでています。視覚については、夜にわずかな光でもみることができ、動体視力優れています。

●耳は大きくて丸く、聴覚はわずかな音でもどの方向に何があるのかを聞き分けることができます。

●前足の第5指から足首にかけて、伸縮性の皮膚の襞である飛膜を持っています。

●飛膜は樹木間を滑空するのに使用され、尾で舵をとります。滑空は50m にも及びます〔Johnson-Delaney 2002〕。飛膜を伸展させて表面積を大きくし、ハンカチのような形をつくり滑空します。しかし、ペットのフクロモモンガはそれほどの長い距離を滑空することはありません。
 
●尾は頭胴長とほぼ同じ長さで、先端がやや細くなり、末端は黒色をしています。

●歯の数は全部で40 本で〔Green  1983〕、樹皮を齧るために、下の前歯の2本が大きく前に突きでています。
  
●舌は長く、樹液や花蜜を吸いとるのに役立っています。


●指は対向指(たいこうし)と呼ばれ、親指とその他の指が向かいあっています。槌向指は物をつかむのに適しています。

●指の数は前足後足とも5本ですが、後足の第2指と第3指は根元が癒合した指で、毛繕いの際のクシの役目をし、前足の長い第4指は樹皮の間の昆虫をとり出すのに使われます。
  
●臭腺は頭頂部にある前額腺、胸にある胸部胸腺の他、肛門腺、手足、外耳の内側などにも存在します。特に肛門の両側の肛門腺は大きいです。メスには育仔嚢内にも臭腺があります。

前額腺

胸部胸腺

 

 

 

 

 

 

 

3-2生殖器・繁殖

●雌雄鑑別は明確で、頭頂部にある前額腺が発達しているのがオスです。
●オスの陰茎は肛門近くから露出し、先端は二股に分かれており、尿道はその分枝部に開口しています。陰嚢は陰茎と腹部中央の間に位置しています。

  

●メスの陰部は肛門の近くにあり、外観からはお尻の穴しかみえません。

  

●有袋類は胎盤がないため、子を子宮で育てることができません。新生子は未熟な状態で産まれ、メスのお腹にある育仔嚢で育てられます。
●育仔嚢は腹部にある袋で、中には4つの乳頭があります〔Brust 2009〕。新生仔は体長約5mmの未熟な状態の赤仔で出生し、自ら陰部からはい出だして育仔嚢に移動し、母乳を吸います。50 ~75 日間は育仔嚢内で育てられます〔Brust 2009〕。
     
●新生子は7~10日齢で目が開き、次第に育仔嚢から出ている時間が増えて、離乳します〔Brust 2009〕。
  
  

表:繁殖知識

項目 数値
性成熟 オス 8-12 ヵ月齢、メス 12 – 14 ヵ月齢

〔Johnson-Delaney 2002〕

繁殖形式 季節繁殖

地域によって発情期は異なり、棲息している南半球では真冬(6-7月)です〔Suckling  1984〕。

多発状(繁殖期に約29 日間隔で発情します。発情期間は約2日間です〔Brust 2009〕。)

飼育下では周年繁殖も可能で、年に2回繁殖できます。

妊娠期間 約16 日〔Johnson-Delaney 2002〕
産子数 1-2頭(通常2頭)〔Johnson-Delaney 2002〕
離乳

●長寿を目指すならば、フクモモドック(健診)をうけましょう。

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参考文献
■Brust DM.Sugar Gliders.Exotic DVM 11(3).Zoological Education Network.Florida.US.p32-41.2009
■Goldingay RL.Photoperiodic control of diel activity in the sugar glider(Petaurus breviceps).In Possums and Gliders.Smith AP,Hume ID.eds.Surrey Beatty&Sons with Australian Mammal Society.Sydney.Australia.p385-391.1984
■Green RH.Skulis of the mammals in Tasmania.Queen Victoria Museum and Art Gallery. Launceston.Tasmania.Australia.1983
■Johnson-Delaney CA.Suger glider.Other small mammals.In BASAVA manual of Exotic Pets 4th ed.Meredith A,Redrobe S.eds.British Small Animal Veterinary Association.UK.2002
■Lindenmayer D.Gliders of Australia: a nutural history. University of New South Wales Press.2002
■Suckling GC.Population ecology of the sugar glider,Petaurus breviceps,in a system of fragmented habitats.Australian Wildlife Research 11.p49-75.1984

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