1. TOP
  2. フェレット
  3. フェレットの分かりやすくマニアックな飼育(特別保存版)

フェレットの分かりやすくマニアックな飼育(特別保存版)

 2018/10/24 フェレット この記事は約 14 分で読めます。

特徴がたくさんあります!匂い、食事、睡眠、予防….

1飼育

●フェレットが法的に飼育できない国や地域があります。脱走したフェレットが野生化して、繁殖するとその場所の生態系が崩れてしまうからです。
●アイスランド、オーストラリアのクイーンズランド及びノーザンテリトリー、アメリカのニューヨーク州、カリフォルニア州などでは、飼うことができません。
●日本国内でも、北海道で飼育をするのに届け出が必要になります。2001 年 10 月に施行された「北海道動物の愛護及び管理に関する条例」に基づいて、フェレットが特定移入動物に指定されています。

北海道で飼育をするのには届け出が必要?

1-1飼育頭数

●単独飼育で問題ないですが、集団飼育も相性が悪くなければ可能です。集団でいると、年齢による生活パターンが異なり、幼体は活動的で、年ととったフェレットは寝ている時間がながいのでストレスになります。
●もともと飼っているフェレットに新しいフェレットを一緒にすると、食欲が落ちたり、軟便や下痢を起こすことがあります。その原因はストレスともいわれ、お迎え症候群と呼ばれています。

お迎え症候群ってなに?

  

1-2ケージ

●ケージ飼育だけでは運動量が足りないため、ケージから出して部屋で運動する時間も設けましょう。
●加齢とともに運動や起きている時間は減り、睡眠とエサの時間に多くがあてられるようになります。
●実験動物では成体のオスは1 頭あたり6000cm2、成体のメスや幼体は5400cm2 が最小の床面積とされ、高さも50cm 必要とされています〔Quesenberry 1995〕。
●金網タイプのケージが推奨され、エサ容器、給水器、トイレ、玩具、寝具などをレイアウトして設置してください。
  
●幼体は活動的で、フェレットの頭が入る程度の穴があれば脱走することができます。フェレットは小さい隙間に対して、顔を縦にして入り込み、体をくねらせて脱走することができるため、フェレット用ケージの金網の幅は狭く作られています。
    

フェレットは脱走の名人!

●睡眠や休息をとるための寝具は必ず用意してください。専用のハンモックや寝袋が市販されていますので、その中に体を器用に丸めて入れて休みます。
  

布団やハンモック大好き!

●金網ケージは噛まないように注意して下さい。噛むことで犬歯が折れます(歯の破折)。しかし、フェレット用ケージの多くは、金網のピッチが狭いので噛むことができないように作らえています。

●フェレット用トイレは出入りしやすいように、前部が低く、側面と後方が高い。壁が高くつくられているのは、後ずさりして臀部が壁に接触したところで腰を下垂して排便するからです。フェレットは排泄物に砂をかける習性を欠くため、猫のようにトイレ砂を深く敷く必要はなく、浅く敷いておくだけでよいです。

1-3温度・湿度・照明

●汗腺が未発達な動物で、暑さに弱く、寒さに強いです。
●夏にケージを直射日光が当たる所やしめきった部屋に置くと、熱射病や熱中症になる可能性があり、部屋の温度を観察し、涼しい場所に置いてあげてください。約32℃以上の温度に耐えることができないともいわれています〔 Brown 1997〕。
●冬の寒い時は、保温器具で寒さを防ぐ工夫をし、夏は冷房や送風などで温度が上がりすぎないように注意してください(温度・湿度)。
●季節繁殖動物で、照明は12 時間の明暗条件で飼育するのが理想とされています。明暗の光の周期は内分泌に変調を与える大きな要因で、副腎の病気や季節性の脱毛の原因といわれています。

表:温度・湿度〔Quesenberry 1997〕

項目 数値
温度 15-24℃
湿度 40-60%

2食事

2-1エサ

●肉食動物であるフェレットのエサは動物性原料が理想で、主にタンパク質と脂肪から栄養をえています〔McLain et al.1988〕。一般的には大量のタンパク質と脂肪、そして少量の炭水化物を与えればよいとされています〔Carpenter 2000〕。
●一度に満腹になるまで食べるというよりは、少しずつ何度も食べる習性があり、ペレットを少量ずつ頻回で与えますが、水とともに自由に食べれるようにしてください〔Kaufman 1980〕。

ちょこちょこエサを食べます

●エサを食べる回数が多いこと、年とともに寝ている時間が多くなること、つまり食べては寝ての毎日のために肥満になることが多いので、注意してください。

●犬や猫と比較して短く単純な消化管であるため、消化時間も短いです。消化性の優れた食材が理想です。エサを食べて排泄するまでの時間は犬や猫と比べてもとても短時間で、肉を基本とした場合は148~219 分〔 Bauck 1981〕、ペレットでは150~180 分くらいです。

食べて3時間後にはうんちが出ます

●多くのフェレットは、同じペレットを飽きずに生涯にわたって食べ続け、ペレット以外の食材を要求しないことが多いです。このような食事スタイルは、運動不足も影響して、フェレットは一般的に肥満になりやすいです。

一生同じエサでも飽きない?

●ペレットの粗タンパクは約32~ 38%、粗脂肪は20~30%、粗繊維は2%以下を満たす製品が理想とされています〔Carpenter 2000〕。
●一般的には32~38%の粗タンパクが必要とされていますが〔Carpenter 2000〕、非繁殖個体には30~40%、成長期や繁殖個体では最低35%が必要とされています〔Bell 1999〕。与えるペレットの成分は動物性タンパク質が理想です。ペレットの成分表を確認してください。
●食べるようであれば、ペレット以外にササミや卵を与えてもよいですが、多くのフェレットは何故か食べません。
●フェレット用のペレットと比較して低タンパク質であるドックフードやキャットフードを与えると尿のアルカリ化が起こり、尿結石を発症する要因になるといわれています〔Bell 1999〕。

ドックフードやキャットフードは与えないで!

●脂肪は動物性脂肪が理想で、植物性脂肪より嗜好性も優れています。特に成長期には脂肪から吸収されたエネルギーを最大限に活用します。
●脂肪の欠乏が起こると、被毛粗剛や掻痒などがみられます。理想の粗脂肪は20 ~30% ですが〔Carpenter 2000〕、幼体や授乳・妊娠個体では約25%が必要量です〔Bell 1999〕。
●フェレットは盲腸がないため、繊維質の消化がうまくできません。野菜や果物などの植物性繊維質を大量に与えると、消化不良を起こす原因となります〔Bell 1999〕。

野菜を与える必要はありません

●ふやかしたペレットを与えると歯石がつきやすくなるため、乾燥した状態(ドライフード)で給餌するべきです。

●老体用やアレルギー性腸炎用ペレットも販売されています。

2-2水

●給水器も壁掛け式とお皿で与える方法がありますが、多くが壁掛け式の給水器のボトルで飲みます。
●ペレットをふやかして与えていると、そちらの水分で十分になり、あまり水を飲まないことがあります。

表:温度・湿度〔Quesenberry 1997〕

項目 一日あたりの量
採食量 約43g/㎏
飲水量 75-100mL/頭

3ケア

●ケージの中に動物をいれてエサを与えるだけという単調な飼育は、成長や健康維持、繁殖のみならず、精神的的なストレスの原因になります。
●動物が持つ野生本来の行動を発現できるような環境作りのために、動物はそれぞれ生息地に適応した体の特徴や生態を環境エンリッチメントに沿って考えてください。

幼体は遊んであげて、スキンシップをとってあげてください

●定期的に耳そうじや爪切り、シャンプーが必要になることもあります。しかし、しっかりと保定(おさえること)が必要になります。噛み癖のしつけの際にも、保定してから怒ったほうがよいです。
●保定は、フェレットの首の皮を捕まえて持ち上げます。一見、虐待していそうにもみえますが、母犬や母猫が子の首の皮を加えて移動させているのと同じです。この保定はフェレット自身は痛くはないので安心してください。保定ができないと、耳そうじや爪切りができません。
  

耳そうじや爪切りしてあげて!1~2ヵ月ごと?

3-1遊び時間

●フェレットは幼体の時はかなり活発です。甘噛みする子もいますが、多くはしつけでなおります
●人に馴れると遊びに誘ったりするなど愛嬌のある仕草を示します。人に慣らすためには幼体期からコミュニケーションをとるべきですが、幼体は咬み癖がありますが、たいがいはしつけでなおります。
●噛みついたらすぐに、「ダメ!」「いけない!」「ノー!」と一喝して大な声で叱ってください。これを繰り返します。噛み癖はファームで大きく差がでるといわれていますが、親から離す時期が早いほど噛み癖が多いです。
●噛み癖のしつけばかりだとフェレットは人を怖がります。普段は、玩具を与えたり、ケージの外に出して遊ぶ時間をもうけて、コミュニケーションもしっかりととってください。
●興味を示す玩具は、ボールやトンネルで、特にトンネルなどの筒に潜り込むことを好みます(キーワード:環境エンリッチメント)。
    
●部屋の中で放す際には、異物を食べるこに注意して下さい。特にゴム製品を咬むことが好きで、消しゴム、輪ゴム、哺乳瓶の乳首などは、粉々にして破片を誤飲します。
●年寄りのフェレットは遊ぶ時間が減ります。寝ている時間が多くなり、1日の大半が食べる時間以外を睡眠に費やします。気がむいたら遊ぶという感じになります。

年をとると睡眠時間が長くなります

3-2耳そうじ

●耳そうじは基本的にフェレットは嫌がります。細い綿棒を使い、イヤークリーナー等の液体で湿らしてから行って下さい。上手く耳垢がとれずに、反対に押し込んでしまう可能性もあります。そして、耳の奥の方まで綿棒を入れて怪我をされも困るので、入り口付近のそうじだけでもかまいません。

3-2爪切り

●フェレットは猫のように自分で爪を研ぎません。そのため定期的に爪切りが必要になります。伸びた爪は折れやすいうえ、また爪が割れることが多いです。おとなしい性格であれば定期的に切ってあげましょう。
  

3-3毛の管理

●毛繕いを積極的に行わず、大量の被毛を飲みこむと、胃内で毛球が形成されることがあります。特に長毛種は積極的なブラッシングをしてあげてください。
●体臭が強い個体、皮脂が多くなりベタベタする時は、シャンプーや入浴を行ってください。

4医学的予防

●屋外での散歩も可能ですが、ウイルス感染やの寄生虫の感染が懸念される場合は、予防処置が必要となります。

●フェレットにはジステンパーウイルスに対するワクチン、フィラリアやノミ・ダニなどの外部寄生虫に対する予防薬の投与を行います。しかし、日本ではフェレット用の予防薬は認可されていません。犬や猫の薬を使用するしかないので、副作用を含めてしっかりと獣医師とよく相談して行ってください。

4‐1ジステンパー感染症

●通常は犬やアライグマに感染するウイルス病ですが、フェレットでも感受性が強く、皮膚病、肺炎や神経症状などが起こります。目ヤニ、鼻水などの分泌物による空気感染、糞や尿などによる直接感染でうつります。
●予防はワクチンで行います。フェレットの母親の初乳に含まれる免疫がなくなる、生後2ヵ月齢から注射をしますが、ワクチンによる抗体が体の中でできるまで、何回かワクチンを注射しなければなりません。特に、生後1ヵ月齢に輸入のためだけに行われる1回目のワクチンは、ほとんど効果が期待できませんので、注意してください。ワクチンの注射のスケジュールを、個々のフェレットにたてます。翌年からのワクチンは年に一回になります。

ワクチンの詳しい話はコチラ!

4‐2フィラリア症(犬糸状虫症)

●フィラリアとは、蚊に刺されて心臓に寄生する約20cmくらいの寄生虫です(通常は犬にかかります)。寄生すると、腹水や胸水、セキ、呼吸困難などの心不全の症状がみられます。フェレットに寄生する確率は犬よりもかなり低いですが、感染した場合には重症になります。予防薬を5~12月くらいまで毎月投与します。体重に応じて薬の量が異なります。

4‐3ノミ・ダニ

●春~夏を中心に、月1回、内服薬や首の後に滴下する薬で予防します。ノミやマダニは吸血するだけでなく、伝染病や寄生虫を媒介します。中には人にうつる病気もあります。ノミは犬や猫から感染しますことが多いです。ノミにかかるとノミの糞が毛にみられます。

ノミの糞

●長寿を目指すならば、フェレドック(健診)をうけましょう。

飼育のコツはコチラ!

診察や健康診断を希望であれば、エキゾチックペットクリニックまで、ご予約をおとりください

 

参考文献

■An NQ,Evans HE.Anatomy of the ferret.In Biology and Disease of the ferret.Fox JG ed.Lea&Febiger.Philadelphia.p14-65.1988
■Bauck LS.Salivary mucocele in 2 ferrets.Modern veterinary practice 66.p337-339.1985
■Bell J.Ferret nutrition and disease associated with inadequate nutrition.Proceedings of the North American Veterinary Conference.Orland.FL.p719-720.1999
■Brown SA.Basic Anatomy,Physiology,and Husbandry.In Ferrets,Rabbits,and Rodents Clinical Medicine and Surgery.Hillyer EV,Quesenberry KE.eds.WB Saunders.Philadelphia.p3-13.1997
■Carpenter JW,Kolmstetter CM.In Small Animal Clinical Nutrition.4th ed.Hand MS,Thatcher CD,Remillard RL,et al.eds.Mark Morris.Kansas.p1069-1090.2000
■Donovan BT.Light and the control of the estrous cycle in the ferret.J Endocrinol.39.105.1967
■Fox JG.Reproduction,Breeding,and Growth.In Biology and Disease of the Ferret. Fox JG.eds.Lea&Febiger.Philadelphia.p174-185.1988
■Kaufman LW.Foraging cost and meal patterns in ferrets.Physiol Behav 25.139.1980
■King CM,Powell RA. The Natural History of Weasels And Stoats: Ecology,Behavior, And Management. Oxford University Press.2007
■Marshall FHA,Hammond Jr J.Experimental control of hormone action on the estrus cycle in the ferret.J Endocrinol 4.159.1945
■McLain DE,Thomas JA,Fox JG.Nutrition.In Biology and Disease of the ferret.Fox JG.ed.Philadelphia.Lea&Febiger.1988
■Miller PE.Ferret ophthalmology.Sem Avian Exotic Pet Med 6.p146-151.1997
■Plant M,Lloyd M.The ferret.The UFAW handbook on The Care and Management of Laboratory and Other Research Animals.8th ed.Hubrecht R,Kirkwood J.eds.Wiley-Blackwell.p418-431.2010
■Quesenberry KE.Ferrets:Basic Approach to Veterinary Care.In Ferrets,Rabbits,and Rodents Clinical Medicine and Surgery.Hillyer EV, Quesenberry KE.eds.WB Saunders.Philadelphia. 1997
■Thompson APD.A history of the ferret.Journal of the History of Medicine 6.p471-480.1951

\ SNSでシェアしよう! /

Dr. ツルのエキゾチックアニマル情報室 Exotic Animal Information Room by Dr Tsuruの注目記事を受け取ろう

この記事が気に入ったら
いいね!しよう

Dr. ツルのエキゾチックアニマル情報室 Exotic Animal Information Room by Dr Tsuruの人気記事をお届けします。

  • 気に入ったらブックマーク! このエントリーをはてなブックマークに追加
  • フォローしよう!

関連記事

  • 【病気情報】フェレットのお迎え症候群とコロナウイルス

  • フェレットの知らないといけない知識