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デグーの知らないといけない知識

 2018/10/23 デグー この記事は約 16 分で読めます。

デグーは知能指数が高いネズミです

1分類・生態

●デグーには、デグー(Octodon degus)、チリデグー(O.bridgesi)、ペルーデグー(O.bridgesi)の3種がいますが、ペットのデグーと呼ばれる種類の中には、デグー属ではないフサオデグー(O.gliroides)がペットのデグーの多くを占める、あるいは交雑種が多いう説もありますが、詳細は不明です。デグー類とフサオデグーの外見からの判断は難しいです(本章でのデグーは、デグー属のデグーを指すことにします)。
●海外では昔からペットとして飼育され、日本では近年になって人気が上昇し、ペットとしての歴史がまだ浅い動物です。同サイズのハムスターやリスよりも人によく馴れて、様々な声を出しり、歌うことでも有名です。

1-1分類

ネズミ目(げっ歯目)デグー科デグー属
学名:Octodon degus
英名:Degu

1-2分布

チリのアンデス山脈

1-3身体

●頭胴長:12~20cm
●尾長:6.5~13cm
●体重:0.17~0.35kg
●寿命:飼育下では7〜9年です〔Braun et al.2003〕

1-4生態

●環境
・標高1200mまでのアンデス山脈西部、亜熱帯気候の半乾燥地帯に生息しています。地中海性気候なので、夏は日差しが強く乾燥しやすい特徴があり、夜は0度程度まで冷える過酷な環境です。熱帯気候に位置してはいますが、標高が高くなる山や高原では、温帯の気候と考えてよいでしょう。
●行動
・藪や林、岩場などの隠れ場所が近くにあるような場所に生活をしており〔Cha’vez et al.2003,Miller et al.1976〕、脚力があるので岩場などの上にも登ります。
  
・土がより湿っている冬や降雨後に自ら巣穴を掘り、群れをつくります。
・群れは2〜5頭のメスと1〜2頭のオスで構成され〔Ebensperger et al.2000〕、冬は群れで体を寄せ合って寒さをしのいでいます。
・巣穴の入り口には、社会的な地位を誇示するために、小枝や岩を積み重ねたり、ワラや牛糞で隠されることもあります〔Ebensperger et al.2000,Woods et al.1975〕。
・基本的に冬眠をしませんが、冬は食料が少なくなるため、巣穴に食物を蓄えます〔Woods et al.1975〕。
●食性:草食性で、草の葉や茎、根、樹皮などの植物質を食べています。

1-5品種

●デグーは多くの毛色のバリエーションが流通していますが、多くが野生色であるノーマル(アグーチ)、ブルー、パイドになります。珍しいカラーでは、クリーム、サンド、ブラック、ホワイトなどもいます。代表的な品種を紹介します。

ノーマル(アグーチ)

全身が茶色と灰色が混じり合い、毛元の色が一番濃く毛先に行くほど色が薄くなっています。お腹はクリーム色を帯びた白色です。
デグー背中 デグーお腹

ブルー

青色を帯びた灰色の毛色をしています。濃い灰色から淡い灰色まで幅があります。
 

パイド

アグーチやブルーに白色のまだら毛様が入っているカラーです。アグーチで白色のまだら模様が入ったものをアグーチパイドと呼び、アグーチ色の比率で、パッチドアグーチやホワイトパッチドアグーチと分けている場合もあります。ブルーで白色のまだら模様が入ったものをブルーパイドと呼び、ブルー色の比率で、パッチドブルーやホワイトパッチドブルーと分けている場合もあります。

パッチドアグーチ

ホワイトパッチドアグーチ

 

 

 

 

 

 

パッチドブルー

クリーム

ノーマルの色か薄くなった色です。

ドブネズミと言わないで!色んなカラーがいますよ!

2特徴

2-1習性・行動

●とても臆病な性格ですが、馴れてくると好奇心旺盛になり、活動的になってきます。

●多彩な鳴き声で歌うこともできるためアンデスの歌うネズミと呼ばれ、言語の研究動物としても注目されています。鳴き声は15~20種類にも及び、機嫌のよい時は「ピピピ、ピルピル」と小鳥のさえずりのように鳴き声を発し、警戒したり怒ったりしている時は「キッ、キッ」と高く大きな声で叫ぶように鳴いたり、高い声や口笛をふくような「キーキー」、「チュウチュウ」、「ブーブー」と可愛く鳴く時は、相手への呼びかけの意志表示です〔Long 2007〕。

歌うアンデスのネズミ

●鳴き声での意思表示は以下のように考えらえています。

「キィキィ」「ピーッピーッ」

警戒や威嚇の時です。この鳴き声を出している時は、触ったり、無理にかまうのは控えてください。

「ピロピロ」

甘えや嬉しい時で、機嫌がよいのです。

「ピッ」

自分の要求を通したいときです。エサが欲しい、遊ぶ時間が足りてい時などです。

「クゥ〜クゥ〜」

甘えの時です。人に撫でられている際に気持ちよさそうな表情をしながら声を出します。

●社会性のあるデグーは鳴き声だけでなく、感情表現や行動で仲間とのコミュニケーションを積極的にとります。親子や兄弟などでグルーミングを行い、馴れたデグーは人に撫でられることも好み、スキンシップがとれます。人を呼んだり、話しかけるにもなり、このような特徴は他のげっ歯類には例がなく、人の2~3歳くらいの幼児と同じくらいの知能ともいわれいます。

  

2~3歳児くらいの頭がよいネズミ

●知能が高いデグーは、道具を使うこともできるくらい賢いです。大きい箱を下から順番に箱を積み重ねる〔Tokimoto et al.2004〕、柵越しの手が届かない所にエサを置くと、熊手を使ってエサをとることができる〔入来ら2007〕等の行動が報告されています。発声や歌も成体から学習する能力を備え、成長とともに覚えます〔時本2005〕。声を出すとエサがもらえるという条件づけも、約2ヵ月をかけてできるようになるそうです〔岡ノ谷2002〕。

道具を使うネズミ

●社交性が高いデグーは、人のストレス下での社会的・感情的行動の脳神経学的研究のモデルになっています。社会的絆の欠損による感情行動障害の研究〔Colonnello et al.2011, Ardiles et al.2012〕、アルツハイマー病ならびに認知症〔Braidy et al.2012〕の研究に使われています。

仲間や人と交わらないとストレスになるネズミ

●天敵に襲われた時に、尾の皮膚を剥いて逃げます。尾の骨が露出した部分を噛みきって、失血を最小限にします〔Woods et al.1975〕。しかし、ペットでは自ら噛みきることをしないので、尾を切る手術になります。

尾の皮が剥けて天敵から逃げます

●陰部を床に引きずる行動がみられますが、これは尿によるマーキング行動とされ、縄張りを誇示しています。
●砂浴びも積極的に行います。デグーは巣穴の入口の外の砂浴びをする場所に排尿し、尿臭を体につけることで、個体識別などに役立てます〔Ebensperger et al.2002〕。尿成分は紫外線を反射する成分が含まれ、体の毛が紫外線を反射することもできる〔Palacios et al.2003〕。

オシッコでマーキングをします

●目の虹彩は縦長のスリット状をしています。

●デグーは紫外線波長をみることができます〔Cha’vez et al.2003〕。体についた尿による紫外線の反射で、個体を識別する能力がありあます。

紫外線を見ることができる目をしています

●一部の研究では、デグーは環境変化に対応して生活のリズムを変化させます〔Kas et al.1999〕。環境によって昼あるいは夜に行動するような生活のリズムを変えることができます。一般的には昼行性で、野生での活動のピークは夜明けと夕暮れ時で、冬は暖かい日中のみに活動しています〔Bozinovic et al.2004〕。

2-2身体

●体は細長く、後足で立ち上がる姿勢はリスのようです。
  
●細い足をしていますが、後足は比較的発達しており、リスほどではありませんが、脚力が強いです。岩や低い木であれば飛び乗ります。

●尾は長くて、先端は房毛になって広がっているため、トランペット・テイル(Trumpet tail)と呼ばれています。尾は意思表示に使用されます。
  
●前肢は器用に使い、エサをつかんで食べることができます。指の数は前足後足ともに5本です。

前足

後足

デグー

物を起用につかめます

●歯は前歯と奥歯があり、全部で20本です。前歯も奥歯も常生歯で、生涯にわたり伸び続けます。前歯の表面のエナメル質は黄色や橙色で、これは銅や鉄などの色素がカルシウムと一緒に取り込まれるためです〔Woods et al.1975〕。
デグー歯
●乳頭は4対(8個)あります。
●目の虹彩は縦長のスリット状をしています。

●丸い耳は大きくて薄く、聴覚が発達しており、可聴域が広い特徴があります。音の刺激に敏感な面もあるので、騒がしい音には注意してください。

●胃は深い袋状の形をしており、食道とつながる噴門部(入口)と十二指腸とつながる幽門部(出口)が接近していて、それぞれの直径が細いのが特徴です。このような胃の形のために、デグーは吐くことができません。

デグーは吐くことができません

●デグーの消化器で最も特徴を持つのが盲腸です。お腹の大半を占めるほど大きいです。盲腸にはたくさんの微生物が共存し、繊維の細胞壁を壊し、消化吸収を行う発酵タンクとしての重要な役割をしています。
●薬に対して敏感で、特に抗生物質の内服投与により腸内細菌叢が崩れやすいです。その結果、悪玉菌が増えて腸炎を起こし、下痢や食欲不振がみられます(抗生物質性腸疾患)。悪玉菌が毒素を出して、全身状態が悪化して死亡するようなこともありますので、注意してください。

抗生物質の内服投与は注意して下さい

●盲腸では盲腸便と呼ばれる柔らかい便がつくられ、デグーはこれを直接肛門から食べ、再び消化吸収します。

2-3雌雄鑑別・繁殖

●雌雄鑑別は難しくはありません。オスは生殖孔と肛門の距離がメスよりも長く、わずかな膨らみをもつ陰嚢がみられます。また、生殖孔の開口部を押すと陰茎が露出することで雌雄の鑑別ができます。

デグーオス  デグーオス  デグーペニス

●メスは生殖孔と肛門の距離がオスよりも短いです。しかし、メスの生殖孔は円錐形で、一見するとオスの陰茎と似ていますので注意して下さい。
デグーメス
●野生では繁殖する季節が決まっていますが、ペットでは一年中繁殖発情することが可能です。
●繁殖の際にはオスとメスを各1頭ずつにさせるか、1 頭のオスに2~3 頭のメスをあてがうハーレム方法をとってください。しかし、デグーの雌雄での相性の選択が難しく、相性が悪ければすぐにケンカが始まります。メスにオスを引き合わせるには、まず発情しているメスのケージのとなりにオスのケージを置き、数日間様子をみて、メスがオスに対して無関心だったり嫌がっていなければ、オスをメスのケージに入れてみます。
●メスは発情期に入ると外部生殖器が腫大します。オスが背中に乗るか、背中に手を乗せると、背中を弓なりに反らす仕草をします(ロードシス:Lordosis)。
●発情したオスはメスの臭いを嗅いで、興奮してきます。交尾ができているかの確認は、メスの陰部に膣栓がついているか否かで判定できます 。
●妊娠期間は86~93 日と他のげっ歯類と比較して長いです。お腹の中で子を大きく育ててから出産するというシステムをとっています。

●新生子は目が開いて毛も生え、と早熟した状態で生まれてきます。
    
●群れの中の他のメスやオスも共同で子育てを手伝います〔Braun et al.2003〕。

●デグーの子育ては、幼体の脳の発達に大きく影響し、子育ての時期に母親と子を放すと、声の発達、性格の発達、知的/社会的能力、精神障害の欠損をもたらします〔Braun et al.2003,Helmeke et al.2001〕。つまり、子育て中のデグーを親から早くに離すと、様々な異常行動がみられ、自咬などを引きおこす可能性があります。

表:繁殖知識

項目 数値
性成熟 53-55週齢〔Ebensperger et al.2002〕
繁殖形式

 

季節繁殖(チリでは5月下旬に発情し、9-10月に出産)〔Ebensperger et al.2002〕

(飼育下では周年繁殖、発情周期は約3週間)       〔Brown et al.2001〕

妊娠期間 86-93日〔Woods et al. 1975〕
産子数 約6(3-10)頭〔Brown et al.2001〕
離乳 21-28日齢〔Braun et al.2003〕

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参考文献
■Ardiles AO et al Post-synaptic dysfunction is associated with spatial and object recognition memory loss in a natural model of Alzheimer’s disease. Proceedings of the National Academy of Science109.13835–13840.2012
■Brown C,Donnelly T.Cataracts and reduced fertility in degus (Octodon degus): Contracts secondary to spontaneous diabetes mellitus.Lab Animal (NY)30 (6).25-26.2001
■Braun K,Kremz P,Wetzel W,Wagner T,Poeggel G.Influence of parental deprivation on the behavioural development in Octodon degus: Modulation by maternal vocalisations.Dev Psychobiol42.237-245.2003
■Bozinovic F,Bacigalupe L,Vasquez R,Visser H,Veloso C, Kenagy G.Cost of living in free-ranging degus (Octodon degus): Seasonal dynamics of energy expenditure.Comparative Biochemistry and Physiology A137.597-604.2004
■Braidy N, et al.Guillemin GJ. Recent animal models For Alzheimer‘s disease: Clinical implications and basic research. J Neural Trans.119.173–195.2012
■Cha’vez A,Bozinovic F,Peich F,Palacios A.Retinal spectral sensitivity,fur coloration and urine reflectance in the genus Octodon (Rodentia). Implications for visual ecology.IOVS 44(5).2290–2296.2003
■Colonnello V et al.Octodon degus. A useful animal model for social-affective neuroscience research: basic .escription of separation distress, social attachments and play.Neurosci Biobehav Rev35.1854–1863.2011
■Ebensperger L,Bozinovic F.Energetics and burrowing behaviour in the semifossorial degu Octodon degus (Rodentia: Octodontidae). Journal of Zoology252.179-186.2000
■Ebensperger L, Wallern P.Grouping increases the ability of the social rodent, Octodon degus, to detect predators when using exposed microhabitats.OIKOS98.491-497.2002
■Helmeke C,Ovtscharoff W, Poeggel G,Braun K.Juvenile emotional experience alters synaptic inputs on pyramidal neurons in the anterior cingulate cortex.Cerebral Cortex11 (8).717-727.2001
■Kas M,Edgar D.A nonphotic stimulus inverts the diurnal-nocturnal phase preference in Octodon degus.’ Journal of Neuroscience19 (1).328-333.1999
■Long CV.Vocalisations of the degu (Octodon degus), a social caviomorph rodent.Bioacoustics16.223–244.2007
■Long C.Degu Cardio-Pulmonary Values. Pp. 85 in Exotic Animal Care and Management(2008; Judah, V. and Nuttall, K. eds.).Thomson Delmar Learning.New York.2007
■Miller S, Rottmann J.Guia para el reconocimiento de mamiferos chilenos. Santiago.Gabriela Mistral.1976
■Palacios A.Bozinovic F.An enactive approach to ingtegrative and comparative biology: Thoughts on the table.Biol Res36 (1).101–105.2003
■Tokimoto N.et al.Cup nesting by Degus Spontaneous construction of “Chinese boxes” by Degus (Octodon degu): A rudiment of recursive intelligence?. Japanese Psychological Research Short Report46(3).255–261.2004
■Woods C.Boraker D.Octodon degus.Mammalian Species67 (5).1975
■岡ノ谷一夫.コミュニケーション場面における視聴覚統合過程を研究するための齧歯類モデルの確立.理化学研究所研究報告.2002
■入来篤史,岡ノ谷一夫,熊澤紀子.齧歯類の道具使用学習を触発する好奇心の脳内機構.理化学研究所研究実績報告.2007
■時本楠緒子.齧歯目デグーにおける乳幼児の音声発達.日本動物心理学会第65回大会発表要旨.動物心理学研究55(2).89.2005

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