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シマリスの知らないといけない知識

 2018/10/10 シマリス この記事は約 11 分で読めます。

ワイルドアニマル=シマリス

●シマリスは野生の性格が残っている動物です。このような性格をペットとして飼育するためには、シマリスの特徴をしっかりと把握しましょう。

1分類・生態

●シマリスは背中から尾の付け根にかけて、縞模様があるためにシマリと呼ばれています。しかし、シマリスは1種類を指しているのではなく、シマリス属の総称であり、その中には約23 種のリスがいます。多くが北米大陸に住んでいますが、シベリアシマリスの1種のみがユーラシア大陸にいます。

シマリスは23種類います

●日本でシマリスと呼ばれている種類はシベリアシマリスを指しており、ペットのシマリスは亜種であるチュウゴクシマリスです(昔は亜種であるチョウセンシマリスも輸入されていたこともありました)。

ペットのシマリスは中国産

●シベリアシマリスの亜種であるエゾシマリスが北海道にいますが、鳥獣保護法により、捕獲・飼育が禁止されています。そして、ペットのシマリスが逃げ出して野生化し、エゾシマリスとの交雑が懸念され、棲息環境の悪化から、エゾシマリスは絶滅が危惧されています。
●シベリアシマリスはペットのとしての歴史は古く、古代ローマ時代にはすでに捕獲され飼育されていた歴史があります。日本では江戸時代にペット用に輸入されていたともいわれています。また、ヨーロッパでは毛皮用に乱獲されたこともありました。

1-1分類

ネズミ目 リス科 シマリス属 シベリアシマリス

ネズミ目 リス科 シマリス属 シベリアシマリス チュウゴクシマリス
チョウセンシマリス
エゾシマリス

学名:Tamias sibiricus
英名:Asiatic chipmunk, Siberian chipmunk

1-2分布

ロシアから中国、朝鮮半島、北海道

1-3身体

●頭胴長12~17cm
●尾長:10~12cm
●体重:約85g
●毛色:背側の5本の黒茶色の縞とその間の白色が特徴です。目の周囲も白色で、この縞模様は外敵から身を守る保護色となっています。
 

1-4生態

●環境:高地から沿岸までの様々な森林、森林周辺の開けた環境、市街地にもみられ、四季のある温帯地域に生息しています。
●行動
・昼行性で、基本的に単独で生活をしています。シマリスは樹上性と地上性のリスの中間的な行動をとり、主に木の上にいますが、地下や岩場に巣を作ったりもします。
・地下巣は、食料貯蔵庫と寝室に分かれています。
・冬は冬眠をするため、秋になると食物を巣にためる行動がみられます。
●食性:植物質が中心となる雑食性で、ドングリやハイマツなどの木の実や種子、葉や芽、花、昆虫や小鳥の卵などを食べています。
●寿命:4~6年(ペットでは、オスは8年、メスは12 年という報告もあります〔Meredith 2009〕)。
  

 

1-5品種

●シベリアシマリスとエゾシマリスの外見上での鑑別は非常に困難です。チョウセンシマリスはエゾシマリスと比べて、やや赤味が強く、チュウゴクシマリスはやや体が大きくて、縞の濃淡が強い程度ですが〔西原 1995〕、鑑別は容易ではありません。ペット用として繁殖し育てられているため、人に馴れやすく、警戒心も少ないようです。
●ペットで流通している個体には、わずかですが、ホワイト(ホワイトシマリス)、ブラウン、クリームなどの毛色のバリエーションが流通しています。

ホワイトシマリス

白色の毛色で、背中にクリーム色の縞模縞が入ります。本種には、白毛の赤目であり、縞模様がみられないアルビノ種と、白毛で薄茶褐色の縞模様が残る黒目の2つのタイプがいます。

白毛で黒目のタイプ

2特徴

2-1習性

●性格は臆病で繊細ですが、一方で活発で好奇心旺盛な面も持っています。時間をかけると人に馴れるようにもなります。馴れると肩に乗ったり、手から直接餌を食べてくれたり、とても愛くるしい行動がみられます。
●野性味がまだ強く残っており、本能的に体に自分以外の匂いが付くのをとても嫌がります。体をおさえこまれることも好きではないので、日常のスキンシップはエサを与える時や掃除をする時だけにして、できる限り控えましょう。

野生の顔とかわいい顔の二面性

●昼行性で、げっ歯目の中では珍しく、主に朝と夕方に行動します。素早い行動で地表を走り、約70cm の樹木間でも跳ぶことができる跳躍力を持っています〔川道 2000〕。
 
●気性はあらくありませんが、エサをたくわえる季節や発情すると狂暴になることがあります。この狂暴化したシマリスをタイガーと呼ばれています。

狂暴化したシマリスをタイガーと呼びます

●物を齧ることは習性です。エサとして樹皮や硬い種子を齧ったりもします。
●冬は巣の中で冬眠して過ごし、冬眠前の秋に種子を巣内に貯える習性があります(巣内貯蔵)〔Clark et al. 1994〕。リスは全ての種類が冬眠するのではなく、シマリス属の一部の種類だけです〔川道 2000〕。

シマリスは冬眠をします

●冬眠は、野生では秋から初春まで地下の巣で行います。この期間は常に寝ているわけではなく、時々起き出して貯えたエサを食べて糞や尿をします。冬眠の準備は9月中旬から始まり、種子を巣内に運び始めます。冬眠の平均期間は約200日で、翌年の4~5月に巣から出てきます〔川道 2000〕。
●シマリスは、冬眠をするクマのように冬眠前にエサをたくさん食べて、脂肪を蓄えるような行動はしません。巣穴で余った種子が翌年に地面から芽が吹くことから、シマリスは森林の生態系で重要な役割を果たすといわれています。

秋になると巣内にエサを蓄えはじめます

●冬眠中は3~7日間睡眠し、覚醒は1日以上というパターンを繰り返し、体温も呼吸数も下がります〔Telegin 1980〕。いわゆる仮死状態になります。冬眠させるか、させないかには賛否両論があります。
●健康体でも冬眠中の死亡率は約5%という報告もありますが〔Kawamichi et al.1993〕、体力がなかったり、病気を持っていると冬眠から起きずに死亡する確率が高くなるので、基本的に飼育下では冬眠はさせないほうがよいでしょう。
●鳴き声は大きくありませんが、天敵が近づいた時などの仲間同士の情報伝達手段になります。

2-2身体

●足が長くて、大きな尾を持っています。尾は樹の上でバランスをとっており、個体同士でコミュニケーションをとる役目もします。
●前足の第1指は退化しているため、前足の指は4本です。前足を使って器用にクルミの殻をあけられます。後足は5本で、前足よりもやや大きいです。

前足

後足

●爪は鋭い鉤爪で、垂直な木を登ったり、巣穴を掘ったり、土にエサを埋めたりもします。
●尾は全体が毛で覆われていますが、完全な樹上生活のキタリスな尾と異なり毛が少なく、貧弱にみえます。シマリスは完全な樹上生活でなく、地上生活もするためでしょう。

●歯は前歯と奥歯があり、全部で22本です。特に前歯は大きくて鋭く、硬いものを齧ります。前歯は常生歯で、生涯にわたり伸び続けますが、奥歯は伸びません。前歯の表面は黄褐色をしていますが、これは虫歯ではなく、体内のミネラルが沈着しているからです。

歯が黄色いのは普通です

●口の中には左右に頬袋を持っています。エサを貯めて巣穴に持ち帰るのに使われます。

2-3雌雄鑑別・繁殖

●雌雄は生殖孔(包皮の孔)と肛門の距離が、オスはメスと比較して長いことで鑑別します。
●季節繁殖動物といって、繁殖する季節が決まっています。繁殖期は冬眠明けの春から秋まで続き、特に春に発情が強く現れます。
●繁殖する季節が決まっており、その中で約2週毎に訪れる1日の発情期に、発情したオスをあてがわないといけません。繁殖の際にはオスとメスを各1頭ずつにさせますが、雌雄での相性の選択が難しく、相性が悪ければすぐにケンカが始まります。このような理由から、繁殖させることが難しいです。

繁殖は難しいです

●発情は、頬を膨らませて「キィーキィー」や「ホロホロ」という声を繰り返し発したり、しゃっくりのようなヒクヒクした行動、一点を凝視するなどの特有の徴候がみられます。食欲が低下したり、毛の光沢がなくなることもあります。発情したオスは性格が狂暴になる傾向があり、人に噛みつくこともあります。

●発情時になると、外部生殖器も発達し、特有の行動がみられます。オスは精巣が発達して下降するため、陰嚢が膨らみ、メスは外陰部が充血して赤く腫れています。

発情期のオス

オスの陰茎

 

 

 

 

 

 

発情期のオス

発達したオスの陰嚢

 

 

 

 

 

 

非発情期のメス

 

 

 

 

 

 

発情期のメス

腫大したメスの陰部

 

 

 

 

 

 

 

噛み癖   

発情期は生殖器が大きくなり、タイガーになります                  

●メスは発情期に1(1~3)日のみ交尾をオスを許容して、交尾をします〔Kawamichi 1989〕。
表:繁殖知識

性成熟 11-13ヵ月齢〔今道 1979〕
繁殖形式 季節繁殖(冬眠明けの春から秋)
発情周期:約2週間
妊娠期間 約30日〔Kawamichi et al.1993〕
産子数 3-7頭〔Kawamichi et al.1993〕
離乳 約60日齢〔川道1992〕

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参考文献

■Clark ME,Kramer Dl.Scatter-hoarding by a larderhoarding rodent:intraspecific variation in the hoarding behaviour of eastern chipmunk,Tamias striatus. Anim Behav 48.p299-308.1994
■Kawamichi M,Kawamichi T.Factors affecting hibernation commencement and spring emergence in Siberian chipmunks (Eutamias sibiricus).In Life in the Cold.Ecological,Physiological,and Molecular Mechanisms.Carey C, Florant GL, Wunder BA, Horwitz B. eds.Westview Press.Boulder.p81-89.1993
■Kawamichi M.Nest structure dynamics and seasonal use of nests by Siberian chipmunks (Eutamias sibiricus).J Mamm 70.p44-57.1989
■Kawamichi T,Kawamichi M.Gestation period and litter size of Siberian chipmunk Eutamias sibiricus lineatus in Hokkaido,northern Japan.J Mamm Soc Japan18.p105-109.1993
■Meredith A.Chipmunks.BSAVA Manual of Exotic Pets 4th ed.Meredith A,Redrobe S.eds.British Small Animal Veterinary Association. Gloucester.UK.p47-51.2002
■Telegin VI.Chipmunks in Western Siberia.Akademia Nauka USSR.Novosibirsk.Rus.p111.1980
■今道友則監.実験動物の飼育管理と手技.ソフトサイエンス社.東京.1979
■川道道枝子.シマリス.冬眠する哺乳類.川道武雄他編.東京大学出版会.東京.p143-186.2000
■川道美枝子.動物たちの地球.哺乳類Ⅱ/9.リス,ビーバー,ヤマアラシほか.朝日新聞社.東京.p260-263.1992
■西原悦男.北東アジア陸生哺乳類誌.朝鮮半島・中国東北篇.鳥海書房.東京.1995

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