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マウス・ファンシーラットの分かりやすくマニアックな飼育(特別保存版)

 2018/10/06 マウス・ラット この記事は約 10 分で読めます。

マウス・ファンシーラットの飼育バイブル

●一般的にネズミと呼ばれるのはマウスとラットのことです。
●マウスとラットはともに実験動物で活躍しているため、間違われやすいのですが、体の大きさが異なり、マウスよりもラットの方が大きいです。食性や体の構造は、ほぼ同じです。しかし、分類学的に別の動物で、性格も異なる点があります。
●日本ではマイナーですが、欧米ではペットとしても大変人気があります。
マウスとラット

マウスとラット

1飼育

●マウスはハムスターよりも体が小さく、同じような環境で飼うことはできますが、飼育用品も体にあった小さい物を選んであげましょう。ファンシーラットはマウスよりも体が大きいことから、ケージの大きさも体にあった物を選んであげましょう。

1‐1飼育頭数

●マウスはオスは縄ばり意識が強いことから、多頭飼育すると、けんかをします。しかし、メス同士はあまりけんかをすることはありませんので、多頭飼育も可能です。
●ファンシーラットは群れで生活するため、社交性が高く、多頭飼育することもできます。動物同士でのコミュニケーションをとることを好むために、単独飼育よりも多頭飼育を薦める考えもあります。

1‐2ケージ

●マウスはハムスター用のケージで飼育することができますが、体が小さいために幅の広い格子の金網ケージでは、脱走する恐れがありますので注意してください。水槽ケージでも、跳躍力も優れているために、脱走しないように必ず蓋をしてください。

●ファンシーラットは、大きめの水槽や金網タイプのケージを使用します。ハムスター用ケージでも飼育できますが、体が大きい場合は、フェレットやウサギ用などのケージを使用することもあります。しかし、金属の格子からの脱走には注意してください。

●ケージの中に床敷、エサ容器や給水器、巣箱や小屋などをレイアウトして設置してください。
●マウスは尾を物に巻きつけて移動し、ケージの蓋まで届くことがあります。蓋を齧って逃走することもあり得るため、ケージ内のレイアウトは十分に考えてください。

小さくて賢いので脱走に注意

●マウスやラットの推奨されるケージの大きさは実験動物で報告されていますが、この数値は最低値であり、この空間で十分な活動量を補えるかが問題でした。

マウス実験動物用ケージ

実験用マウス

実験動物用ケージラット

実験用ラット

表:実験用マウスのケージの大きさ〔実験動物の管理と使用に関する視診 2011〕

体重 床面積(cm2 高さ(cm)
10g未満 38.7 12.7
10~15g 51.6
16~25g 77.4
25g以上 >96.7

表: EU実験動物保護指令での実験用マウスのケージの大きさ〔EUの実験動物保護指令2010〕

体重 床面積(cm2) 高さ(cm)
20g未満 60 12
20~50g 70
25~30g 80
30g以上 100


表:実験用ラットのケージの大きさ〔実験動物の管理と使用に関する視診 2011〕

体重 床面積(cm2 高さ(cm)
100g未満 109.60 17.8
100~200g 148.35
201~300g 187.05
301~400g 258
401~500g 387
500g以上 >451.5

表: EU実験動物保護指令での実験用ラットのケージの大きさ〔EUの実験動物保護指令2010〕

体重 床面積(cm2 高さ(cm)
200g未満 200 18
200~300g 250
300~400g 350
400~600g 450
600g以上 600

●ケージの大きさを優先するだけでなく、巣箱や小屋、あるいはトンネルなどのシェルターとなる玩具を与えることは、運動量を増やし、そしてストレスを減らす効果もあります(環境エンリッチメント)。
●マウスはマーキングでケージのあちこちで排泄するため、トイレを教えることは困難です。床敷の掃除も頻繁に行う必要があり、交換の手間やコストも考えて選びましょう。ファンシーラットは比較的トイレを覚えます。
マウスはおしっこが多いので掃除をこまめにしましょう


●暗くて狭いところが大好きです。自分一人で落ち着ける場所が必要なので、小屋・巣箱は必ず用意しておくとよいでしょう。

1-3温度・湿度・照明

●水槽ケージの中は湿気がこもりやすいために、風通しのよい所にケージをおきます。床敷は細菌が繁殖しやすいため、頻繁に掃除してあげましょう。
ケージを直射日光が当たる所や閉めきった部屋に置くと、熱射病や熱中症になる可能性があり、部屋の温度を観察し、涼しい場所に置いてあげてください。
●冬の寒い時は、保温器具で寒さを防ぐ工夫をし、夏は冷房や送風などで温度が上がりすぎないように注意してください(温度・湿度)。
●特に夏はケージの中に熱がこもりやすくなり、暑くて水を飲む量が増えると、もともと尿量が多いマウスでは、床敷が蒸れて温度や温度の管理が難しくなります。
ファンシーラットは乾燥に弱く、尾の鱗状の皮膚にひび割れが起こります。これは、野生種であるドブネズミは、名前の通りに下水などの湿った環境に適応していたからです。
●マウスやファンシーラットは夜行性で、日光浴をさせる必要はありません。

表:理想環境温度・湿度〔実験動物施設基準研究会 1983〕

項目 数値
温度 20~26℃
湿度 40~60%

表:ラットの温度・湿度〔実験動物施設基準研究会 1983〕

項目 数値
温度 20-26℃
湿度 50- 70%

2食事

2-1エサ

●基本的にマウス・ラット用ペレットを中心に、種子野菜などを与えます。ペレットのみのでも栄養学的には問題はありませが、食べる喜びを与えるために、他の食材もバランスよく組み合わせて与えます。マウス・ラット用ペレットが手に入らない場合は、ハムスター用ペレットを与えてください。

●活動し始める夕方から夜の早い時間にかけて、エサを与えてください。
●ペレットや種子類は常にエサ容器に入れておき、しおれやすい野菜は時間を決めて新鮮なものを与えてください。果物やおやつなどはコミュニケーションの一環として、時々与える程度にとどめましょう。
●実験動物のマウス用ペレットでは、粗タンパク12.5~16.8%、粗脂肪5~8%が理想値と記載されています〔木村 1996 〕。実験動物のラット用ペレットでは、粗タンパク質15%、粗脂肪5%が理想値と記載されています〔NRC 1995〕。

2-2水

●給水器も壁掛け式タイプとお皿で与えるタイプがありますが、多くが壁掛け式の給水器のボトルで飲みます。

表:マウスの採食量・飲水量〔Baumans 2010〕

項目 1日の体重100gに対する量
採食量 約15g
飲水量 約15mL

表:ラットの採食量・飲水量〔Baumans 2010〕

項目 1日の体重100gに対する量
採食量 約10g
飲水量 約15mL

3ケア

●ケージの中に動物をいれてエサを与えるだけという単調な飼育は、成長や健康維持、繁殖のみならず、精神的的なストレスの原因になります。
●動物が持つ野生本来の行動を発現できるような環境作りのために、動物はそれぞれ生息地に適応した体の特徴や生態を、環境エンリッチメントに沿って考えてください。ケージを広くする以外に、運動をさせる、巣穴を作って潜り込む、物を齧るという行動がポイントになります。
●活発な動物ですが、最低の運動量は一概に定まっていません。ケージの中で小屋や巣箱に乗ったり、ケージの外に放すことで運動量を増やすなどの策もとられています。
●物を齧ることも習性の一つですので、齧り木になるようなものを置いてあげましょう。
●ファンシーラットは人を認識して馴れる動物ですので、コミュニケーションをとる必要があります。馴れると扱いが楽になります。マウスは残念ながら、人を認識する能力は乏しいです。
●馴らすには、最初に好物のエサを手渡しであげてみます。手に馴れるように匂いをかがせ、手を恐がらないようになったら、手の平に乗せてみてください。つぎに体を優しく撫でてください。特に耳の後ろを撫でてあげるとよいでしょう。
●馴れたファンシーラットは人に寄ってきて、じゃれたり、膝に乗ってきたりするようになります。

馴れたラットはまるで子犬のようです

●部屋で放す場合は、家具の隙間に入ってしまったり、下敷きになったり、人に踏まれしまったり、観葉植物があると齧って中毒がおこる可能性がありますので十分に注意してください。
●野生では爪が削れる環境がありますが、飼育下では爪が伸びすぎることがあります。おとなしい性格であれば定期的に切ってあげましょう。
●長寿を目指すならば、ネズミドック(健診)をうけましょう。

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治療や健康診断を希望であれば、エキゾチックペットクリニックまで、ご予約をおとりください

 

参考文献
■Baumans V.The Laboratory mouse.In The UFAW handbook on the care and management of laboratory and other research animals.Universities Federation for Animal Welfare.8th ed. Hubrecht R,Kirkwood J.eds.Wiler-Blackwell.Oxford.UK.2010
■John K.Animals in Person: Cultural Perspectives on Human-animal Intimacy.Berg Publishers.p131.2005
■Konopka G,Roberts TF.Animal Models of Speech and Vocal Communication Deficits Associated With Psychiatric Disorders.Biol Psychiatry1.79(1).53-61.2016
■National Research Council (NRC).Nutrient Requirements of Laboratory Animals. National Academy Press.Washington.DC.1995
■石橋正彦,高橋寿太郎,菅原七郎,安田泰久編.実験動物学.ラット.講談社.東京.p66.1984
■木村透.実験動物栄養監視技術.実験動物技術大系.日本実験動物技術者協会編.アドスリー.東京.p593‐655.1996
■実験動物の管理と使用に関する視診 第8版.(社)日本実験動物学会 監訳.アドスリー.東京.p45-114.2011.
■実験動物施設基準研究会編.ガイドライン─実験動物施設の建築および施設.清至書院.東京.1983
■中村博範、金澤健一郎、松枝秀二.マウスのタンパク質栄養状態と体毛タンパク質合成の関係について.川崎医療福祉学会誌22(2).200-207.2013
■DIRECTIVE 2010/63/EU OF THE EUROPEAN PARLIAMENT AND OF THE COUNCIL of 22 September 2010 on the protection of animals used for scientific purposes(科学的な目的のために使用される動物の保護に関する2010年9月22日の欧州議会及び理事会指令2010/63/EU(抄) (EUの実験動物保護指令)

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