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ウサギの知らないといけない知識

 2018/10/04 ウサギ この記事は約 15 分で読めます。
ウサギ

ウサギは弱い動物?

●ウサギとはウサギ目ウサギ科に属する動物で、全身が柔らかい毛で覆われ、耳が大きい特徴があります。
●日本でも野生のウサギをみることがありますが、野生のウサギはノウサギ科に属しており、ペットで飼われているウサギとは異なります。ノウサギは耳と足が大きくて、ペットのウサギより大きく、性格的にも人に馴れません。最も大きな違いは染色体の数が異なりますので、ノウサギとペットのウサギは交配して、子供をつくることができません。

ペットのウサギとノウサギは違う動物!

●ペットのウサギは、アナウサギ科のヨーロッパアナウサギを家畜化したものがオリジナルといわれています。ヨーロッパアナウサギは、フランスやイベリア半島(スペイン,ポルトガル)、アフリカ北西部に生息していました。

ペットのウサギはアナウサギ

●紀元前数世紀にフェニキア人(イベリア半島に住んでいた民族)は、イベリア半島を Szpan (ウサギという意味)の国と呼び、これが今のスペインの語源になったといわれています。中世には生息地域がヨーロッパ中に広がり、食料や毛皮などのために 人間の手によって海を越えてアメリカやオーストラリアにも移入されています。

スペインの国名の語源は「ウサギの国」

● ウサギは実験動物でも使われてきましたが、近年ではペットとしての飼育頭数が増え、優しくて温和な性格であるため、学校や公園などでの情操教育として飼育するペットとしても勧められています。
ウサギ屋外飼育  ウサギ屋外飼育
●本サイトで使用するウサギという言葉は、ノウサギでなくアナウサギを意味します(以下同)。

1分類・生態

1-1分類

分類:ウサギ目(重歯目※)ウサギ科アナウサギ属
●学名:Oryctolagus cuniculus
●英名:Rabbit
●別名:カイウサギ
※ウサギは上の前歯の裏側に小さい歯が重なって生えているため、昔は重歯目と呼ばれていました。
ウサギ小切歯

前歯が重なっています

1-2分布

スペイン、ポルトガル、モロッコ北部、アルジェリア北部(人為的にヨーロッパ各地を含め、オーストラリアやニュージーランド、日本などへ移入されています)

ウサギ分布地図

1-3身体

●頭胴長:38~50cm
●尾長:4.5~7.5cm
●体重:1.5~3.0kg
●毛色:背中は灰色~茶褐色で、お腹は明灰色をしています。

1-4生態

環境:草原や森林、草木のある丘陵地帯に棲息しています。
●行動
・夜行性で、昼は巣穴の中で休み、夕方から活動を始め、数へクタールの行動範囲を持っています。
・群居性があり、1頭のオスに複数のメスの一夫多妻制からなる2~8頭のコミュニティで生活をしています。
・群れの中では、しっかりとした序列があります。オスは序列の優劣を競って喧嘩をします。序列の高いオスは群れの中の多くのメスと交尾ができます。また、群れの中で新しいウサギが生まれると、メスはそのまま群れに残り、オスは序列争いでリーダーになるか、負けると群れから離れて、新たにコミュニティを形成します。
・巣穴はワレン(Warren)と呼ばれ、巣穴は巣やトイレなどに分別され、複雑な形をしています。
・野生のウサギはイタチ、キツネ、コヨーテ、オオカミなどの哺乳類、ワシ、タカなどの猛禽類のエサとなる被捕食動物(食べられてしまう動物)となり、食物連鎖の底辺に位置しています。

ウサギは自然界では弱い動物です

●食性:草食性で、通常は水分の多い葉を好みますが、冬など環境が苛酷であると茎、根、枝や樹皮なども食べています。

寿命:5~7年(10 年を超すウサギも数多くみかけるようになりました)

2特徴

2-1習性

●野生のアナウサギは群れで生活をしており、複数で群れることで安心します。また、群れて集団でいることで、天敵をみつけやすいという理由もあるでしょう。
ウサギの集団

群れるのが大好き!

●夜行性で、明け方と日暮れ頃にもっとも活発に活動します。これは天敵から身を隠すための野生での生活パターンで、飼育下では天敵に襲われることがないので、ある程度は人の生活に適応した昼間に行動するパターンになることもあります。
休んでいるウサギ

あなたのウサギは夜型?昼型?

●ウサギは自然界では天敵が多く捕食される動物です。天敵にいつ襲われても即座に逃げれるように、目を半分開いたまま睡ります。しかし、ペットのウサギは横になり、目をつむって寝ています。これは野生の本能がなくなったのでしょう。

●性格は一般的に温和で、人に従順な個体が多く、飼い主を認識することができます。しかしながら、神経質で臆病な面ももち、環境の変化によって拒食を示したり、排泄などに変調サギは極度のストレスで突然死することがあります。そして、軽いストレスでも、慢性的になると、食欲が低下したり、軟便や下痢を起こし、病気になる可能性があります。ウサギの欲求を理解し、ストレスの少ない飼育環境を整えてあげましょう。

ストレスが大敵!

●犬や猫のように鳴くことがないため、コミュニケーションが取りづらいと思われていますが、色々なボディランゲージで意思表示を示しています。

ウサギのボディランゲージを覚えましょう

●お腹を床につけて寝そべっているのは、警戒心を解いて、リラックスしている状態です。
リラックスなウサギ
●鼻先でツンツン突いてくるのは、甘えたい時です。鼻をブゥブゥ鳴らす場合も甘えている時にみられます。
●後足で地面をダンダンと踏み鳴らす(スタンピング:Stamping)のは、仲間に危険を知らせる、怒って威嚇している、警戒している、怖いと思っている時の行動です。

●後足で立ちあがるのは、危険を感じ取った時、面白い物を発見した時の行動です。
探索しているウサギ
●耳をピンと立てたり、ピクピク動かすのは、普段聞いている音とは違う音がして警戒をしている時です。耳はアンテナの役目をし、辺りの様子の変化を探るために耳を動かして音の正体を探ろうとしているのです。
ウサギの耳
●顎を擦りつける行動は、下顎の皮膚にある下顎腺の擦りつけによるマーキング(チンマーク:Chin mark)です〔Donnelly 1997〕。下顎腺のある下顎の皮膚が薄くなっています。ここからの匂いを好きな物や場所にマーキングすることで、「気に入った」という主張をするためです。なお、飼い主の体にマーキングするのは親しみの表現です。
ウサギ下顎腺
●人の手をなめてくるのは、飼い主に対しての好意です。仲のよいウサギ同士も、お互いに舐め合いますが、親密さを深めているのです。
●耳を背中につけるのは、気にくわないことがあった時、怒っている時です。さらに怒ると前足でパンチをしたり、頭突きをします。
威嚇したウサギ
●威嚇または攻撃体制の時は前足で相手を小突くような攻撃をします。

●エサ容器や牧草入れをひっくり返すのは、お腹が空いていたり、退屈である時です。
●毛づくろいに多くの時間を費やし、多頭飼育ではウサギ同士で毛づくろいをしあいます。
●きれい好きで、体全体をくまなく毛づくろいをします。前足を舐めて前足に唾液をつけて顔を洗い、口使って毛についたゴミを取り除きます。
毛づくろいしたウサギ 
●地面を掘る行動は、野生での習性の名残りです。
ウサギの穴掘り
●声帯は発達していないため、声を出すことはまれです。しかし、小さい声で「プクク」と鳴くことがあり、推測ですがこれは「おいしいなあ」「楽しいな」という独り言と思われます。

2-2身体

●補食動物(天敵)から逃避するために、多くの身体の特徴があります。
●耳が大きく体は円筒状で、前足は小さいですが、跳躍しながら歩行するため、後足は発達して大きいです。

●天敵から逃げるために、骨質が薄くすることで体重を軽くしています。体重に対する骨質量は猫の約1/3で〔Donnelly 1997〕、ウサギは骨折が起きやすい理由です。
ウサギ全身骨格  ウサギの骨

骨はおせんべいのように軽くて薄いです

●指の数は前足は5本、後足は4本で、鉤爪になっています。足底には犬や猫のような肉球がみられず、毛で被われています。これは走行中に固い地面をとらえやすくし、クッションの役目をするといわれています。
ウサギの足裏
●ヒゲは重要な感覚器官です。触毛とも呼ばれ、巣穴の中での障害物との接触、風の方向や強さなどを感じとる役目をしています。
ウサギのヒゲ
●大きな耳は音を能率よく集めて、小さい音まで聞き逃さないようにしています。
ウサギの耳
●耳には血管が豊富にみられ、動脈と静脈が走っています。これらの血管から熱が放散して体の熱を逃がしているのです〔Donnelly 1997〕。ウサギは汗腺が発達していないので、汗をかけません。耳での体温調節はとても大切です。
ウサギの耳の血管

耳は音を聞く以外に体温温度もしています

●目が頭の側面に位置していることも、周囲を常に観察したり、天敵を早期発見することに役立っています。
ウサギの目
●マーキングや個体識別のために、下顎腺以外にも、鼠径腺、肛門腺と呼ばれる臭腺を持っています。鼠径腺は陰部の両脇にみられ、分泌物がゴミのように黒褐色の塊としてくっついています。この分泌物がウサギ臭い原因です。この塊は炎症が起きていなければ取る必要はありません。
ウサギの臭腺  ウサギの臭腺

陰部の脇の汚れは臭腺です

●上の唇の真ん中が縦に割れているのは、兎唇(としん)と呼ばれています。鼻をピクピクとさせる様子がみられますが(鼻ピクとも呼ばれています)、これは臭いをかぐ、あるいは意思表示ともいわれています。

●毛の抜け変えは春と秋にみられます。アンゴラ種やロップ種などの一部のウサギの換毛が特異的で、毛が生えている部分と脱毛している部分が同時に発生し、継ぎ接ぎ状やまだら模様にみえます。これをアイランドスキン(Island skin)と呼ばれ〔Hoyt 1998〕、病的な状態ではありませんので安心してください。
ウサギのアイランドスキン  ウサギのアイランドスキン

換毛のまだら模様はアイランドスキン

●乳首は4~5対(8~10 個)あります。第1乳頭はかなり上の方にみられ、肩の下あたりです。
ウサギの乳首
●尾は短く退化して、弓なりのへら型をしています。外観状は体に一体化しているように、丸まってみえます。
ウサギの尾椎
●草食動物であるウサギは、犬や猫の消化管の働きや構造が大きく異なり、低栄養で高繊維の牧草などを消化し、効率よく利用するための特徴を備えています。
●歯は前歯と奥歯があり、全部で28本です。特に前歯は大きくて鋭く、硬いものもかじります。奥歯は、顎関節を亜脱臼させて、切歯で短く切断されたエサを石臼のにような動きで細かくすり潰します〔Cortopassi et al.1990〕。
ウサギの木齧り 
●ウサギの前歯と奥歯は常生歯で、生涯にわたり伸び続けます。歯を使わないエサ(ソフトタイプのペレットや葉野菜)を多く与えることで、歯が伸びてしまい、不正咬合の原因になります。
ウサギの頭蓋骨  ウサギの奥歯

前歯も奥歯も一生伸び続けます

●胃は深い袋状の形をしており、食道とつながる噴門部(入口)と十二指腸とつながる幽門部(出口)が接近していて、それぞれの直径が細いのが特徴です。噴門部の筋肉が発達していることもあり、逆流することができないため、ウサギは吐くことができません。

ウサギは吐くことができません

●ウサギの消化器で最も特徴を持つのが盲腸です。お腹の大半を占めるほど大きいです。盲腸にはたくさんの微生物が共存し、繊維の細胞壁を壊し、消化吸収を行う発酵タンクとしての重要な役割をしています。
●薬に対して敏感で、特に抗生物質の内服投与により腸内細菌叢が崩れやすいです。その結果、悪玉菌が増えて腸炎を起こし、下痢や食欲不振がみられます(抗生物質性腸疾患)。悪玉菌が毒素を出して、全身状態が悪化して死亡するようなこともありますので、注意してください。

抗生物質の内服投与は注意して下さい

●糞は硬い球状の形をしており、コロコロしています。糞を割ると繊維の塊で、全く臭いません。
ウサギの硬糞  
●盲腸では盲腸便と呼ばれる柔らかく鈴なり状にまとまった便がつくられ、これにはビタミンと良質なタンパク質が含まれており、ウサギはこれを直接肛門から食べ、再び消化吸収します〔Cheeke 1944〕。
  ウサギの盲腸便  ウサギの盲腸便

●食糞は主に深夜から早朝にかけて行われます。このようにウサギは食物を1度で消化吸収するのではなく、一旦ある程度消化し、盲腸便として排泄、さらにその便を食べることによって完全に消化吸収をします〔Cheek 1944,平川 1995〕。

ウサギは糞を食べます(食糞)

●尿の色は黄色~茶褐色などの有色で、白く濁っています。
●エサや代謝の問題により、尿の色は変化し、これは健康なウサギでもみられます。色の元はポルフィリンやビリルビンの誘導体などの色素といわれています〔Norris et al.2001〕。
ウサギの有色尿
●ウサギは体の中の余剰なカルシウムは主に腎臓から排泄されます。その結果、尿中に多量のカルシウムが含まれるために、尿は白く濁るのです〔Buss et al.1984〕。
ウサギのカルシウム尿  ウサギのカルシウム尿

オシッコは色がついたり白く濁っています

2-3雌雄鑑別・繁殖

●未熟時での雌雄鑑別は生殖孔の形態と肛門との距離で行います。オスの生殖孔は円筒状で肛門との距離は長く、メスはスリット状で、距離は短いです。その違いは明確でないために鑑別が難しく、獣医師でも間違えることがあります。

ウサギ幼体のオスの陰部

オスの円筒状の生殖孔

ウサギ幼体のオスの陰部

オスの陰部

 

 

 

 

 

 

ウサギ幼体のメスの陰部

メスのスリット状の陰部

ウサギ幼体のメスの陰部

メスの陰部

●オスは10~12 週齢で精巣は陰嚢に降りてきますが、鼠径輪が閉じていないため、明確ではありません〔Donnelly 1997〕。ウサギは精巣がお腹と陰嚢の間を自由に行き来できるので、陰嚢が膨らんでみえない時があります。
●成熟したオスは陰茎と陰嚢の存在、メスはスリット状の外陰部で雌雄鑑別します。

ウサギのオスの陰嚢

オスの陰嚢

ウサギのメスの陰部

メスの陰部

●メスの特徴として、首の下には皮膚のたるみがあり、肉垂(Dewlap)と呼ばれています。中は脂肪です。
ウサギの肉垂  ウサギの肉垂
●発情したメスは陰部が赤く腫脹し、ロードシス(Lordosis)と呼ばれる尾を上げた姿勢がみられます。これは交尾を許容しているのです〔星ら 1996〕。
●交尾はオスがメスの背中に回ってペニスを挿入します。交尾時間は1~2分と超短時間で〔星ら 1996〕、交尾が成功すると、オスは後ろに飛び跳ねるように倒れるのが特徴です。

●発情したオスはマーキングのために縄ばり内に尿を飛ばしたり(スプレー:Spray)、人の足や物につかまり、腰を振り動かして射精します。対策は去勢手術しかありません。

オスのおしっこ飛ばし、玉をとるしかありません

●妊娠末期には自ら乳腺の周囲の毛を抜いて巣材にします。
ウサギ巣箱  ウサギ営巣
●想像妊娠が起こることもあり、発情行動や営巣が頻繁にみられ、乳腺が腫って母乳が出てきます。
ウサギ偽妊娠
●新生子は赤子で生まれ、目も耳も閉じた状態です。2~3日齢で被毛が生え始め、目が開くのは12~13 日かかります。
ウサギ新生子  ウサギ幼体
●新生子は約20 日齢からは、巣から出て遊び始めます。4週齢からは少量ずつエサを自ら摂り始めますが、消化機能が完全に発達するのは6週齢以降で、完全な離乳は8週齢以降が理想です。
ウサギ幼体  ウサギ母子

表:繁殖知識

性成熟 オス:7-8ヵ月齢
メス:4-12 ヵ月齢(小型種 約4-5ヵ月齢、中型種 4-8ヵ月齢、大型種 約9-12 ヵ月齢)〔橋爪 1992〕
繁殖形式 周年繁殖
発情周期:12-14日〔星ら 1996〕
妊娠期間 30 -32 日〔星ら 1996〕
産子数 4-10(7.5)頭〔Donnelly 1997〕
離乳 約8週齢

 

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参考文献

■Buss SL,Bourdeau JE.Calcium balanace in laboratory rabbits.Miner Electrolyte Metab.10(2).p127-132.1984
■Cheeke PR.Nutrition and nutritional disease.In The Biology of the Laboratory Rabbit 2nd ed.Mannig PJ,Ringer DH,Newcomer CE eds.Academic Press.San Diego.US.p321-333.1994
■Cortopassi D,Muhl ZF.Videofluorograpjic analysis of tongue movement in the rabbit (Orctolagus cuniculus).J Morphol.240.p139-146.1990
■Donnelly TM.Disease problems of small rodents.In Ferrets,Rabbits,and Rodents:Clinical Medicine and Surgery.Hillyer EV,Quesenberry KQ.eds.WB Saunders.Philadelphia.p307-327.1997
■Hoyt RF Jr.Abdominal surgery of pet rabbits.In Current Techniques in Small Animal. Surgery.4th ed.Bojrab MJ.eds.William &Wilkins.Philadelphia.p777-790.1998
■Norris SA,Pettifor JM,Gray DA,Buffenstein R.Calcium Metabolism and bone mass in female rabbits during skeletal maturation:Effects of dietary calcium intake.Bone 29(1).p62-69.2001
■橋爪一善.哺乳動物の生殖行動と繁殖管理.実験動物.哺乳動物の生殖行動.正木淳二編.川島書店.東京.1992
■星修三,山内亮.家畜臨床繁殖学 (改訂新版).朝倉書店.東京.1990
■平川浩文.ウサギ類の糞食.哺乳類科学34.p109-122.1995

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